小松大 & 山本哲也 Dai Komatsu & Tetsuya Yamamoto – Shadows and Silhouettes (2018)

日本が誇るアイリッシュフィドル奏者・小松大さんとギターの山本哲也さんによるデュオの作品。デュオの結成は2015年です。2016年に1stアルバムの「Years」をリリースしており、本作品「Shadows and Silhouettes」は2018年の2ndアルバムに当たります。

1stの「Years」は比較的輪郭のはっきりした元気なアルバムだった印象ですが、この2ndはタイトルどおり「影」ですね。アイルランド伝統音楽に静と動の側面があるとすれば、本作品は間違いなく「静」のほうをとらえた名盤だと思います。1stが全9トラック35分と短めだったのに対して、2ndでは全14トラック57分となっているあたりもこのデュオの円熟を示唆しているのではないでしょうか。

小松さんがときおりフィドルをヴィオラに持ち替え、また山本さんによるギターソロのトラックが挟まれる構成は前作から変わっていませんね。このデュオの魅力です。

小松さんはアイルランドのクレア Clare の音楽を非常に深く研究されたそうで、このアルバムの音楽性にもそれは滲み出ていると思います。クレアといいますと、有名どころではマーティン・ヘイズ Martin Hayes 、タラ・ケーリー・バンド Tulla Ceili Band などが挙げられますが、その辺りの音楽が好きな人にはぜひおすすめしたいアルバムです。

個人的なベストトラックはラストの「Con Cassidy’s Waltz」です。言葉も出ないほど美しいです。