株式投資入門: 簡単で確実な投資の方法とは

いきなりタイトルで大きく出ましたね。簡単で確実な投資の方法についてです。

初めにお断りしておくと、「確実」というのはリスクがないという意味ではありません。必ず儲かるという意味でもありません。リスクはリターンの本質であって、リスクなしにリターンが欲しいというのは「空からお金が降ってこないかなあ」と思うのと同じです。

それを踏まえた上で、投資というものには王道というか一応の最適解というか、そういうものが定説として存在しています。地味だからあまり言われないんですけどね。やればおそらく儲かりますが、証券会社の営業マンが儲かるわけでもないので、「これ儲かりますよ」と誰かがあなたに勧めてくれることもありません。

ズバリ書きます。可能な限り非課税の口座で、コストの安い投資信託で「全世界株式のインデックスファンド」をドルコスト平均法で定期購入し続けて、可能な限り長期間保有すること。これが投資の王道です。

わからない言葉が出てきましたか? 調べましょう。はっきり言いますが、自分で調べようという気にならない人はあまり投資には向いていません。「おいおい、それを解説してくれる記事じゃないのかよ!」と思われた方はすみません。しかし「投資信託とは?」「インデックスファンドとは?」「そもそも証券口座ってどうやって開くの?」といった質問にひとつひとつ答えていたら、膨大な内容になってしまいます。幸いにも、用語を解説するだけの記事は世の中に溢れています。ここでは重要な指針を示すのみにとどめましょう。

繰り返しになりますが、自分で調べましょう。投資は心理のゲームです。ここで述べられる投資の王道は、証券会社の口座を開いて少し設定をしてしまえば、あとはほとんど手間などかかりません。物理的にやるだけなら誰でもできます。しかし、心理的にやれるかどうかは話が別です。何百万円という自分のお金をリスクにさらせるか? わかりやすい失敗例として、市場の暴落時に長期保有という前提を守れずに投げ売りしてしまうという例があります。下落相場で何十万円という含み損が出ているのに投資を続けられるか? すべてはあなたの知識と確信の強度にかかっています。調べましょう。本気でお金を儲けたいと思っているならできるはずです。

さて、先に述べた方法にはいくつかキーワードが出てきましたね。これがそのまま重要な点です。箇条書きにしてみます。

  • 可能な限り非課税の口座(NISAやiDeCo)を使用し、税金を安く抑えること。
  • 可能な限りコスト(手数料や信託報酬)の安い投資信託を利用すること。
  • 商品は(債券でも不動産でもゴールドでもその他諸々でもなく)株式を選択すること。
  • 可能な限り全世界に幅広く分散された株式インデックスを購入すること。(市場の分散とパッシブ投資)
  • 一定期間おきに一定額を定期購入すること。(ドルコスト平均法。時間の分散と自動化)
  • 可能な限り長期間、売却せずに保有し続けること。(リスク低減および複利効果)

これらのすべてが重要です。今はよくわからなくても、勉強するときにときどき見返すようにしてみてください。

ジェレミー・シーゲル教授が著書「株式投資」で明らかにしたところによると、過去200年間にわたる米国株の実質リターンは年利にして7%程度だったといいます。複利のマジックを知っている方は、年利7%と聞くと、株式投資には恐ろしいパワーが秘められていることに気がつくでしょう。電卓で「×1.07」を繰り返していただくとわかりますが、これはおよそ10年で2倍になる計算です。「株式投資、なんでやらないの?」といったレベルです。

さて、手っ取り早くこの投資方法を実現する手段ですが、これも簡単に述べることができます。三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・ カントリー)」を毎月定額で積み立てるようにし、あとは放っておく。もちろんあなたがこれを読んだ時点で、eMAXIS Slimよりコストの安いインデックスファンドが登場している可能性はあります。毎月いくら積み立てればいいの? という疑問もあるでしょう(ちなみにこれに対する私の回答は「収入が許す限界まで」です)。また、「全世界株式より米国株式のほうがリターンが良い傾向があるのでは?」といった議論もあります。このあたりの細かい点は、追い追い勉強ということでよいでしょう。

このページをご覧になった方が、どの程度投資の知識をお持ちなのかはわかりません。銀行預金ではスズメの涙ほどの利息しかつかないこのご時世、年利7%という数字に驚かれた方も多いのではないでしょうか。あなたが若い人で、100万円のまとまった貯金をようやく作ることができたとしたら? あなたが働き盛りの世代で、1000万円の預金を眠らせているとしたら? 株式投資はきっと有力な選択肢になるでしょう。

先にも書きましたが、投資は心理のゲームです。1000万円という数字に7%という数字を当てはめて、年間70万円の不労所得だ! 10年後には複利で2000万円だ! と考えることはできます。しかし、日によって数十万円、運が悪ければ長期間にわたって数百万円の含み損が発生するかもしれないという状況にあなたは耐えられるでしょうか? 繰り返します。すべてはあなたの知識と確信の強度にかかっています。勉強しましょう。本を読みましょう。すべてを疑って、納得のいくまで知識を確かにするのです。そうすればたぶん、あなたは新しい種類の自由を手にすることができるかもしれません。

株式投資の世界へようこそ!