うつ病で眠れない時に – 不眠への対処

うつ病の代表的な症状には不眠があります。夜になっても寝付けない。夜中に起きてしまう(中途覚醒)。早朝のまだ暗いうちに起きてしまう。辛いですよね。

逆説的ですが、眠らなければ「ならない」と思うと余計に辛くなります。余計に眠れなくなるかもしれません。まずは「眠れないのだ」という事実を受け止めてみましょう。

あなたは今、休職中ですか? 仕事を休んでいるのであれば、一日くらい眠れなくたって大したことにはなりません。生活リズムが崩れてしまう? 確かに生活リズムは整っているに越したことはありません。しかし、眠れないのはそれなりの理由があるのかもしれません。たとえば無意識のうちに、昼にみんなが働いている時間に起きているのが辛くて、夜にみんなが休んでいる時間に起きているのは比較的安心する、と感じてはいないでしょうか。そうだとしたら、あなたは「自分に鞭打って」でも夜に眠ろうとしますか。それとも昼間より安心できる夜を、そういうものとして受け入れたほうがよいのでしょうか。

ひょっとしたら、あなたのうつ病には「〜せねばならない」というmustの思考が深く深く根を張っていないでしょうか。仕事を頑張らなければならない。よき社会人でなければならない。よき家庭人でなければならない。そうして頑張り続けてきたあなたは、うつ病になった今も、できる限り早く治らなければならない、良い患者でなければならない、身体に良いことをしなければならない、と思っていませんか。だからあなたは思うのではありませんか。夜はしっかり眠らなければならない、と。

うつ病は心の悲鳴です。もしあなたが「眠らなければならないのに眠れない」と思っているのなら、どうか一度だけ、「眠らなければならない」という思考を解除してみてください。眠れなければならない、なんてことはありません。眠れるのと眠れないのとでは、それは眠れたほうがよいでしょう。しかしmustではありません。あなたを苦しめるのはこの「ならない」の思考です。

今これを読んでいるあなたは、まさに夜中に眠れない真っ最中かもしれません。でしたら、眠気がやって来るまで、少し考えてみてください。あなたを苦しめる「ならない」の正体とはいったい何なのだろうと。深く考えなくてもいいですよ。こうせねばならない、ああせねばならない、と思ってきたこと、ありませんか。

あなたのうつ病の治療のプロセスは、ひょっとしたらそんな「ならない」の思考をひとつずつ外していくプロセスになるかもしれませんね。

では、あなたに安眠が訪れますように。