うつ病の薬が効かない時には – 薬の効果の話

うつ病のお薬を飲み始めたものの、どうもあまり効いていないような気がする。そんな方に「3つ」ぜひ知っていただきたいことがあります。最初の2つは聞いたことがあるかもしれませんが、最後の1つはあまり知られていないかもしれません。この機会にぜひ、うつ病のお薬について理解を深めていってくださいね。

1. 薬が効き始めるまでには一定の時間がかかる

これは処方された際に先生から聞いているかもしれませんね。うつ病の治療で使われる抗うつ薬(SSRI、SNRI、NaSSA等々…)の多くは、服用を始めてから実際に効き始めるまでに、多少のタイムラグが存在します。その期間は2週間と言われることもありますし、4週間と言われることもありますが、薬の種類と症状の程度などによって異なるようです。

気になる方はお医者さんや薬剤師さんに、「効果が出始めるまでに一般的に何週間くらいかかりますか」と訊いてみるのもいいでしょう。うつ病の治療は長期戦です。焦らずじっくり行きましょう。

なお抗うつ薬と違って、抗不安薬や睡眠導入剤など、飲んですぐに効果が出るものもあります。このあたりの違いも、気になったらお医者さんや薬剤師さんに訊いてみるとよいでしょう。

2. 薬と個人には相性がある

うつ病の治療薬にはご存知のとおり、さまざまな種類が存在します。「そんなにたくさん作ってないで、いちばん効果の高いものを出してくれよ」と単純にいかないのは、薬と個人の間に相性があるからです。ある人にはよく効いた薬が、別のある人にはあまり効かなかったりすることがあるのです。

これは正直なところ、飲んでみないとわかりません。お医者さんも症状の経過を見ながら、「この薬がこの人に合っているだろうか」という点を見極めようとしてしていると思います。この点でも、お医者さんに自分の症状の変化をうまく伝えるということは重要になってきます。もちろん自分にできる範囲でいいですよ! もし、薬を飲んでいるにも関わらず症状がよくなっていないような気がするのであれば、その点をお医者さんに詳しく説明してみるとよいでしょう。

あまり薬がよく効いていないようであれば、薬が変更になることもあります。少し残念なお話ですが、「最初に出された薬が一発でよく効いたらラッキーだ」という程度に考えてください。薬があまりよく効かずに、何ヶ月も治療を続ける中で2回、3回と薬が変更になることは珍しい話ではありません。多少薬が効かないことがあっても、すぐに「お医者さんがよくないのではないか、別のクリニックへ行こうか」と考えることは賢明ではありません。(もっとも「お医者さんと患者さんの相性」も事実としてあるため、このあたりの見極めは非常に難しいところですが…)

繰り返しになりますが、うつ病の治療は長期戦です。自分に合ったお薬が見つかるまで、焦らず治療を続けましょう。

3. 休職直後は症状のピークが来ていることがある

これはうつ病治療の本や情報などを読んでいても、見過ごされがちな点です。うつ病で会社を休むことになってしまった人は、「もう動けない」という限界まで自分を追い込んでしまった人が少なくありません。多くの人は「クリニックで診断書をもらい、会社を休み始める」タイミングと「薬を飲み始める」タイミングが一致しています。ここで注意すべきなのは、このタイミングというのはこれまで頑張ってきた緊張の糸がプツンと切れ、症状が一気に出るというケースが多いということです。

つまり実際には薬が「プラス」の方向へ効いていたとしても、それまでに溜め込んできた疲労という「マイナス」が一気に出てしまうタイミングでは、薬がそれほど効いているように見えない可能性があるということです。

この点はお医者さんも、症状のピークと薬の効果について、どうにか見極めようとしてくれていることでしょう。3度目の繰り返しになりますが、うつ病の治療は長期戦です。もしあなたが今、会社を休み始めたばかりで、「1ヶ月くらい休めばなんとか…」と考えているようでしたら、そのもくろみに対しては難しいと言わざるを得ないかもしれません。

一般論としてですが、うつ病の治療には3〜6ヶ月かかると言われることが多いようです。当然、これより長くかかるケースもたくさんあります。

悲観的にならないでください。うつ病は薬と休養で必ずよくなります。しかしそれが思ったよりも長い時間を要することだということは、頭の片隅に置いておくとよいのではないでしょうか。

この記事については以上です。あなたの体調が少しでも早くよくなりますように。