入門編: Pink Floyd の名盤を探る

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド、ピンク・フロイド Pink Floyd。商業的にも芸術的にも成功したと言える彼らですが、その入門盤にふさわしいと思える作品を3枚セレクトしてみました。

おせっかい Meddle (1971)

不穏なベースの響きで幕を開ける1971年のアルバム。サウンドトラックも含めたオリジナル・アルバムとしては6枚目の作品です。ピンク・フロイドのサウンドが確立したと呼べるのはおそらくここからでしょうから、意外とその前にも初期のアルバムが数多くリリースされているわけですね。

美しい小品5曲と、ラストの23分を超える大作「Echoes」で構成されています。どちらも非常にピンク・フロイド「らしい」作品なんですよね。このバンドは大作が注目されがちですが、前半の5曲の美しさといったらどうでしょう。私はバンドの魅力が出ているのはむしろこちらのほうだと思いますね。

とはいえ大作「Echoes」も傑出した出来です。いわゆるプログレという分野を代表する名曲ですね。

狂気 The Dark Side of the Moon (1973)

言わずと知れた大傑作、1973年の作品です。世界中で最も売れたアルバムなどと呼ばれることもありますね。ヒプノシスによるデザインのジャケットも有名です。

アルバム全体がシームレスに繋がっていて、「1枚で1曲」のように聴こえる作品です。曲単体で目立つものといったら「Money」「Us and Them」あたりでしょうか。ゲスト・ヴォーカルの入った「The Great Gig in the Sky」も印象的ですね。

ちなみにこのアルバムは音質が異常に良いことでも知られています。一度は聴いてみる価値がある作品なのではないでしょうか。

アニマルズ Animals (1977)

これは意外と見落とされがちなのではないでしょうか、ハードなロックサウンドとなった1977年の作品です。17分ある「Dogs」、それぞれ10分超ある「Pigs (Three Different Ones)」「Sheep」をメインに構成されています。

「Dogs」はおそらく過小評価された大作でしょう。いわゆるプログレ的なサウンドとは異なる趣ですが、この長さをあっという間に聴かせる構成力はさすがです。圧巻は「Sheep」で、暴れ回るギターがとにかく強烈です。そしてギターとともにこの曲のサウンドを支えるキーボードの存在。ギタリストとしてのデヴィッド・ギルモア、キーボード奏者としてのリック・ライトの魅了が存分に表れています。

「プログレ・バンド」ではなく純粋な「ロック・バンド」としてのピンク・フロイドの力量が表れている傑作と言えるでしょう。