Boards of Canada – Tomorrow’s Harvest (2013)

スコットランド出身のエレクトロニック・デュオ、ボーズ・オブ・カナダ Boards of Canada による2013年の作品。彼らのフルアルバムとしては、「Music Has the Right to Children」(1998)、「Geogaddi」(2002)、「The Campfire Headphase」(2005) に続く4作目となります。

彼らの1stではサンプリングされた子どもや男女の声が効果的に使用されていて、それがボーズ・オブ・カナダのサウンドを特徴づける顔の役割を果たしていましたが、今作ではサンプリングされたヴォイスはほとんど使用されていません。

本作は彼らの作品の中では最も温度の低さを感じさせる、冬の空気のような冷ややかな手触りのアルバムです。ビートを感じさせる曲もないわけではないのですが、ドラムのサウンドよりもシンセサイザーの持続音がアルバムの表情を形作っている気がします。

それから本作は音数の少なさも印象的ですね。極限まで研ぎ澄まされた、職人的な音作りがうかがえます。

静謐な雰囲気のアルバムではありますけど、決して暗いわけじゃないんですね。タイトルの「Tomorrow’s Harvest」はそのまま訳せば「明日の収穫」ですから、ポジティブなメッセージも込められているのかもしれません。

ボーズ・オブ・カナダの作品は名盤揃いなので、どこから聴いてもいいと思いますが、このアルバムもまた例に漏れない素晴らしい作品です。

本作のリリースから8年が経った2021年現在、このデュオは沈黙を保ったままです。新作のリリースが待ち遠しいグループのひとつですね。