Brian Eno – Ambient 1, 2, 3, 4

ブライアン・イーノ Brian Eno による有名な環境音楽のシリーズ「アンビエント Ambient」。1から4までの計4作品が存在していますが、その各作品について紹介してみましょう。

Brian Eno – Ambient 1: Music for Airports (1978)

記念すべきアンビエントの1作目。1作目にしてもう既に完成されちゃってる感じがありますね。曲目は「1/1」「1/2」「2/1」「2/2」の4曲からなり、合計48分の作品です。

「1/1」はピアノ、エレクトリック・ピアノ、シンセサイザーからなる17分少々の曲。おそらく1作目の1曲目であるこの曲が、最もよくアンビエントというものを表現しているのではないでしょうか。シンプルなフレーズのループになっていますが、永遠に聴いていられそうな美しい曲です。

「1/2」はヴォーカルとシンセサイザーのための作品。人間の声と機械で合成された音色、2つの音が一体となって聴こえてきます。続く「2/1」はヴォーカルとピアノのための作品で、これもアンビエント「らしい」楽曲ですね。ラストの「2/2」はシンセサイザーのための作品で、ドローン系のアンビエント作品の先駆けと言えるサウンドになっています。

Harold Budd & Brian Eno – Ambient 2: The Plateaux of Mirror (1980)

ハロルド・バッド Harold Budd との共作による2作目。この作品ではハロルドのカラーがある程度出ていて、アンビエントの作品としては比較的メロディのはっきりした小品が並びます。とはいえそれも「比較的」といった程度のもので、音楽的な輪郭はどこか遠く離れて霞がかかったような印象を受けます。

音色はエフェクトのかかったピアノが中心で、アルバム全体を通じて一定のトーンが貫かれています。鳥が鳴くような不思議なサウンドもときどきバックで聴かれますね。ピアノはアコースティックとエレクトリックと両方使われているようですが、その境界も曖昧です。

ピアノを使用したヒーリング・ミュージックの先駆的な作品と呼べるでしょう。

Laraaji – Ambient 3: Day of Radiance (1980)

ララージ Laraaji の名義による3作目。イーノはこの作品ではプロデューサーという立場に回っています。

ララージはツィターとハンマー・ダルシマーという2つの弦楽器を使用しています。作品は前半の約22分ある「The Dance #1-3」と、約26分ある「Meditation #1-2」の2つのパートからなります。

「The Dance」は目も眩むようなキラキラした音色が印象的な、極めてミニマルな作品です。メロディがあるというよりも、アルペジオの洪水で満たされているといった感じです。

続く「Meditation」は前半のようなエッジのはっきりした音ではなく、ゆったりとしたアルペジオが続く作品です。音がものすごい密度で詰まっていた前半と異なり、音と音の間の空間を意識させる構成です。

前半の強烈な音の印象は「アンビエント」シリーズの中でもちょっと異色で、興味深い作品です。

Brian Eno – Ambient 4: On Land (1982)

シリーズ最終作となる4作目は、再びイーノのソロ名義となっています。個人的にはアンビエントシリーズで最も好きな作品です。

前3作品と比較すると、突出して音の輪郭の曖昧な作品です。楽器の音というより、何の音とも説明ができないような環境音で満たされています。私はなんとなく、誰もいないジャングルの奥に入ってしまったような印象を受けます。あるいは、もし宇宙で音がするとしたらこんな音だ、と感じられる人もいるかもしれません。

途中で少しシンセサイザーらしい合成音や、人の声らしい音も聴こえてきますが、徹底して正体不明な感じがするんですね。アンビエントシリーズの最終到達点で、最重要作と呼べるかもしれません。

以上、アンビエントシリーズの全4作品について紹介してみました。気になったものがありましたらぜひ聴いてみてくださいね。