Mary Mac Namara – The Blackberry Blossom (2000)

アイルランドのクレア County Clare 出身のコンサーティーナ奏者、メアリー・マクナマラ Mary Mac Namara による2000年の作品。メアリーはボタンアコーディオン奏者のアンドリュー・マクナマラ Andrew Mac Namara とはきょうだいに当たります。

メアリーの演奏は、個人的にはコンサーティーナ独奏の理想形だと思っています。素直で飾り気がなく、装飾音も控えめでテクニックを主張するわけではないんですが、なぜか「メアリーの音」がするんですよね。

本作では多くの曲にピアノ伴奏が入っていますが、むしろ伴奏のない曲にこそメアリーの魅力が表れているんじゃないかなあと思います。もちろんピアノが魅力的な曲もあって、6セット目の「The Golden Eagle」などはコンサーティーナとピアノの組み合わせが絶妙な響きを見せています。

曲単位で見ると、8セット目の「Paddy Kelly’s」あたりがすごくいいですね。この曲はピアノ伴奏なしの独奏です。本作はステレオ録音でおそらくコンサーティーナの左右にマイクを設置してあって、コンサーティーナのボタン配置に従ってわずかに左右に分離した音が面白い音響効果を生んでいる気がします。高い方の音がLのチャンネルから聴こえますから、イヤホンで聴くと演奏者の真正面で聴いているようなイメージになりますね。

メアリーの作品は他にも1994年の「Traditional Music From East Clare」、2014年の「Note for Note」があります。特に後者の「Note for Note」はコンサーティーナ独奏の大名盤だと思うんですけれど、残念ながら Apple Music 等のデジタル配信ではリリースされていません。CDで見つけたらぜひご購入をおすすめします。