アンビエント(環境音楽)の先駆者、ブライアン・イーノ Brian Eno による2017年の作品。
CDとデジタル音源リリースの他に、iPhone等のiOS向けのアプリでリリースされたことが特徴です。これがなかなか面白いです。
アプリ版では、動的に自動生成された環境音楽が永遠に流れ続けます。それは川の流れのようなもので、遠くから見ると絶えず変わらない姿を見せてはいますが、厳密にはどの瞬間にも水の形は異なっています。つまりこの自動生成された音楽は、常に微妙に表情を変え続けています。
アプリだからといって、触ると何かインタラクティブに音が変化するとか、そういった仕掛けはありません。これは正解だったと思いますね。触って遊んですぐに飽きちゃうようなものだといけませんから。このアプリは完全に完成された音楽生成装置として存在しています。
アプリの画面上には、時間の経過とともに微妙に色を変えていく抽象画が表示されています。iPhoneやiPadで再生したまま壁に立てかけておくと、その場がちょっとしたインスタレーションのようになります。ちなみに画面を閉じてバックグラウンド再生にすることも可能で、この配慮は嬉しいですね。何か他の作業をしながらBGM的に聴くこともできます。
アプリ版の価格は2021年現在で3,800円となっていて、アプリとして見るとちょっと高いかなあと感じられるかもしれませんが、2枚組のCDを買ったらだいたいそれくらいしますからね。ここは音楽作品の値段として見てみましょう。決して高いものではないと思います。
アンビエント、ドローン等の音楽が好きな人には当たりだと思います。おすすめです。