入門編: Nirvana の名盤を探る

グランジと呼ばれるジャンルを代表するアメリカのロックバンド、ニルヴァーナ Nirvana。

メンバーはギター兼ヴォーカルのカート・コバーン Kurt Cobain、ベースのクリス・ノヴォセリック Krist Novoselic、ドラムスのデイヴ・グロール Dave Grohl からなる3ピースのバンドです。

1989年のファーストから、1994年のカートの自殺によりバンドが幕を閉じるまで、数々の優れた作品を残しています。ここではそんな彼らの名盤を3枚、セレクトしてみました。

Nevermind (1991)

彼らの出世作でもある1991年のセカンドアルバム。全米1位を記録し、売れに売れた作品です。特にアルバムの前半には彼らの名曲が集中しています。

1曲目「Smells Like Teen Spirit」は彼らの代名詞とも呼べる曲で、凶暴なギターリフに爆発的なドラムとシャウトが曲を形作っています。静かなヴァースと激しいコーラスという対比は彼らの曲作りでよく見られる手法です。2曲目「In Bloom」もそのような対比のある、メロディの美しい曲です。

3曲目「Come As You Are」も彼らの代表曲で、ベースのフレーズが曲を引っ張るダークで浮遊感のあるナンバー。4曲目「Breed」はドラムスとギターリフが非常に激しく、ライヴでも盛り上がる曲です。

5曲目「Lithium」も一見穏やかに見えるヴァースと、突如としてヘヴィになるコーラスの対比が見事な一曲。ちなみにタイトルのリチウムとは躁鬱病の治療薬を指しています。

ニルヴァーナの入門盤としてはまず間違いのない一枚でしょう。90年代のロックシーンを代表する名盤です。

In Utero (1993)

カートが前作の商業的な大成功に一種の嫌悪感を覚え、アンダーグラウンドな作風へと回帰したサードアルバム。こちらも全米1位を記録しています。

1曲目「Serve The Servants」からダークでヘヴィなサウンドです。開始の和音の響きが強烈ですね。2曲目「Scentless Apprentice」はカートのものすごい絶叫がコーラスとなっており、本作のアンダーグラウンドな印象を決定付けています。11曲目「Tourette’s」もシャウトが主題となっていますが、素晴らしい出来です。

シングル向けの曲としては3曲目「Heart-Shaped Box」、12曲目「All Apologies」などがあります。前者はポップなのかそうでないのか何とも言いがたいインディーらしい曲で、後者はややアコースティックな響きのある美しい曲です。

本作については好みは分かれるところかもしれませんが、ニルヴァーナというバンドが表現したかった音として、高い完成度を持っている作品と言えるでしょう。

MTV Unplugged in New York (1994)

伝説的なアコースティックライヴを収録したアルバムで、1994年のカートの死後にリリースされました。本作も全米1位を獲得しています。

ニルヴァーナというとヘヴィなギターサウンドにラウドなベースとドラムス、という印象ですが、このアコースティックライヴではそうした方向性とはまったく逆のサウンドを聴かせてくれます。

ライヴは彼らのファーストからの曲「About A Girl」で幕を開けます。収録曲はファーストからが1曲、セカンドからが4曲、サードからが3曲。そしてカバー曲がなんと6曲も収録されていて、この点でもニルヴァーナの作品の中でも特異な存在です。

カバー曲はデヴィッド・ボウイ David Bowie の「The Man Who Sold the World」、ミート・パペッツ Meat Puppets の「Plateau」「Oh, Me」「Lake of Fire」などで、どれも非常に魅力的な仕上がりとなっています。

ニルヴァーナを語る上では外せない作品と言えるのではないでしょうか。