入門編: Dream Theater の名盤を探る

プログレッシヴ・メタルの分野を代表するバンド、ドリーム・シアター Dream Theater。1989年のデビューから30年以上のキャリアを持つ彼らですが、どのアルバムから聴いたらよいのかという疑問に答えるために、ここでは彼らの名盤を3枚セレクトしてみました。

Images and Words (1992)

彼らの出世作として知られる大ヒットアルバムで、現在でも彼らの最高傑作と見る向きも多い、1992年の2ndです。

メンバーはジェイムズ・ラブリエ James LaBrie (Vo)、ジョン・ペトルーシ John Petrucci (Gt)、ジョン・マイアング John Myung (Ba)、ケヴィン・ムーア Kevin Moore (Key)、マイク・ポートノイ Mike Portnoy (Dr)の5人編成。

既に彼らの超絶技巧が見られる作品ですが、とにかく曲がメロディアスで非常に良いです。技巧的な面では後年の作品で更なる進化を遂げていますが、曲がここまで聴きやすいのはこのアルバムがトップでしょう。

彼らの代表曲であるロック・アンセムのTr.1「Pull Me Under」、長尺のギター&キーボードソロを含み、特にキーボードのセンスが光るTr.3「Take The Time」、歌うかのようなドラムと驚愕のベースソロを含むTr.5「Metropolis, Pt. 1」。彼らを代表する名曲揃いです。

全8曲で57分のアルバムですが、まったく無駄がありません。最初から最後まで素晴らしい技巧とメロディにあふれています。ドリーム・シアターの入門盤として、まず間違いのない一枚でしょう。

Train of Thought (2003)

彼らの作品の中でも最もヘヴィな作品と見なされている、2003年の7th。メンバーはキーボードがケヴィン・ムーアから「キーボード・ウィザード」ことジョーダン・ルーデス Jordan Rudess へと交代しています。

全7曲で69分と、比較的長尺の曲が多いです。ダークな世界観で幕を開け、変拍子も印象的なTr.1「As I Am」、ツーバスの疾走感から憂いを帯びたヘヴィなメロディへと繋がるTr.2「This Dying Soul」、ベースの実力が光り、ギターの速弾きも壮絶なインスト曲のTr.6「Stream of Consciousness」。名曲が続きます。

激しい速弾きを含むギターサウンドと、それに負けじと追随するキーボード、そして手数の多くソリッドなドラム。非常にヘヴィで攻撃的なサウンドです。ヘヴィメタルバンドとしてのドリーム・シアターの魅力がよく表れた傑作です。

Dream Theater (2013)

セルフタイトルを冠したあたりに彼らの自信がうかがえる、2013年の12th。バンドの中心人物だったドラムのマイク・ポートノイが脱退し、マイク・マンジーニ Mike Mangini が加入しています。

ヘヴィで技巧的に進化してきた面を保ちながら、2ndで見せたメロディへのセンスも再び見せてくれる快作です。せわしないキーボードとドラムが曲を引っ張るTr.2「The Enemy Inside」、メロディと技巧の理想的な融合と見えるインスト曲のTr.4「Enigma Machine」、約22分のドラマチックな大作であるTr.9「Illumination Theory」。

彼らのアルバムは一時期は「技巧のための技巧」に走っているように見られたこともありますが、本作ではヴォーカルとのバランスがよく、インストパートにしてもしっかりメロディを歌わせている曲が多いです。近年のドリーム・シアターのサウンドを知る上では外せないアルバムでしょう。

おわりに

こうして選んでみると、ほぼ10年の周期で3枚のアルバムがチョイスされたという点は興味深いです。彼らが飽くなき進化を遂げているという点のひとつの証拠でしょう。

アルバムが気に入った方は「Live at Budokan」等の映像作品をチェックしてみるのもいいと思います。きっと楽しめるはずです。