うつ病の休職期間と復職の目安は?

うつ病になってしまった場合、多くの会社では「休職」という制度を使用することができます。病気などで働くことのできなくなった人に、一定期間休んでもらう制度です。

休職中はお給料が出ないことが多く、代わりに健康保険組合の「傷病手当金」の制度を使用することができます。これは1年半の間、お給料の3分の2を保障してくれる制度です。傷病手当金の詳しい解説については、この記事の本筋ではないので、別の機会に譲るとしましょう。

さて、どうにか収入が保障されたとしても、働けずに休んでいる状態というのは大変つらいものです。いったいいつまで休んでいればいいのでしょうか? この記事では、そんなうつ病での休職期間と復職の目安について触れてみたいと思います。

制度上の休職期間は会社によって異なる

まず、体調のお話よりも先に、制度上のお話です。休職というのは、それぞれの会社が就業規則によって決めている制度で、その上限となる長さは会社によって異なります。

1年間という会社もあれば、それ以上という会社もあるでしょう。逆に中小企業などでは、休職という制度そのものがないことがあり、この場合に病気欠勤できる長さについては、ケースバイケースで人事担当者と話し合うことになると思います。

休職期間が満了となっても病気が治らなかった場合、残念ながら退職となってしまいます。しかし安心してください。多くの会社では、うつ病が回復するのに十分な程度の休職期間が制度上設けられていることが多いです。

休職可能な期間の上限については、おそらく休職の開始時に書面やメールなどで人事担当者の方から連絡があると思います。もし上限について知らされていなければ、少し症状が落ち着いてからでいいので、人事担当者に確認してみるといいでしょう。(休職し始めてすぐのタイミングでは、おそらくうつ病の症状によって、会社に連絡することが非常につらいことでしょう。できるようになってからで大丈夫です。)

実際に休職から復職できるのはいつ?

実際に復職できるのは、基本的には主治医の先生が「復職可能」と判断したタイミングになります。ただし会社によっては、それに加えて会社と契約している「産業医」というお医者さんがいて、主治医の先生に加えて産業医の先生が「復職可能」と判断する必要がある場合もあります。

会社を休職し始めたとき、おそらく「○月○日まで休養を要する」という診断書を会社に提出したと思います。それと同じように、主治医の先生が復職可能と判断したら、「○月○日から労務が可能」といった復職可能の診断書を出してくれます。

では、主治医の先生や産業医の先生が「復職可能」と判断するのは、症状がどの程度にまで回復したときなのでしょうか。

復職可能と言える症状の目安は?

復職可能と判断される目安は、以下のようなものが挙げられると思います。

  • 中途覚醒や早朝覚醒がなく、睡眠がきちんと取れている
  • おおむね決まった時間に夜眠ったり朝起きたりでき、生活リズムが整っている
  • ゆううつ感や不安などの強い症状が取れている
  • 朝の通勤電車に乗っても気分が悪くなったりしない
  • 図書館のような公共の場所で長時間過ごすことができる
  • 長時間本を読んだりするなど、集中力がある

可能であれば毎日の睡眠時間、日中の活動時間や活動内容などをわかりやすい表形式にして、毎日の記録をつけるといいでしょう。これは主治医の先生や産業医の先生に、自分の状態を客観的に知らせるための大事な資料になります。会社によっては、指定の形式で記録をつけて、会社に提出してもらうように求められるかもしれません。

まだそんなに症状が回復していなくて、いつ復職できるのか不安でしょうか。焦ることはありません。うつ病の治療は長期戦です。服薬と休養を続けていれば、必ず症状は改善していきます。

一般的には、うつ病の回復にかかる期間は3ヶ月〜6ヶ月と言われることが多いようです。人によってはそれより長い場合もあります。1年程度かかる場合もあるかもしれません。繰り返しますが、焦る必要はありません。

休職期間は思ったりよりも長引くことがある

うつ病というのはその病気の性質上、自分の病気がどの程度重いのかといった冷静な判断が非常に難しい病気です。不安や思考力の低下によって、判断力が曇らされてしまうからです。

おそらくうつ病の治療では、あなたが思っているより長い時間がかかるかもしれない、と言っておくべきかもしれません。まず、限界まで自分を追い込んでしまった直後の、最も症状が厳しい時期を乗り越える必要があります。少し症状が良くなったと思ったら、今度は日によって症状が良くなったり悪くなったりする、といった一進一退の時期も経験することでしょう。安定して休養できるようになってきたら、今度は積極的に外に出てみるといったチャレンジが必要になってきます。外に出てみると、そこでまた体調が安定しないといった問題もまた出てくるでしょう。

復職という目標を意識しすぎると、「まだ復職にまで至っていない自分」というネガティブな面に目が行ってしまって、暗い気持ちになってしまったりもするかもしれません。ここでは復職そのものよりも、元気で幸せに暮らしている自分への回復を目指すという意識でいることをおすすめします。

「早く復職したい!」という思いが強いときは

一刻も早く復職したいでしょうか。それはある意味、自然な考え方です。しかし、うつ病の症状には焦燥感というものが含まれていることも忘れてはなりません。

NGワードは「働かなければ」です。「○○しなければ」という義務感は、うつ病の症状自体がそれを駆り立てているという可能性が高いです。先述した生活リズムや活動の記録など、客観的な記録をつけてみたでしょうか。あなたの身体はまだ、日々の仕事に耐えられる状態にまで回復していないかもしれません。

逆にOKワードは「働いてもいいかな」です。そこへ至るまでには、おそらく一度「もう疲れてしまった、働きたくない」という素直な気持ちを肯定してあげる必要があるでしょう。「もう働きたくない」という気持ちから、休養を通して積極的な意欲が湧いてきて、「やっぱり社会の中で働きたい」と自然に思えるようになることが理想と言えるでしょう。

おわりに

本文中でも触れましたように、うつ病の治療は長期戦です。初めてこのような病気を経験して、戸惑っている方も多くいるでしょう。大丈夫です。うつ病は服薬と休養で回復していきます。

あなたがまだ十分な回復に至っていないと感じられた場合は、このページをブックマークしておいて、「復職可能な目安」として挙げたリストの内容をときどきチェックしてみるのもよいでしょう。

それでは、あなたの病気が無事回復して、また元気で前向きに働くことができる日が来ますように。