入門編: Underworld の名盤を探る

イギリスのエレクトロニック・ユニット、アンダーワールド Underworld。

主なメンバーはカール・ハイド Karl Hyde とリック・スミス Rick Smith です。初期にはバンド形式で活動して2枚のアルバムをリリースしていましたが、一度解散して、1992年にDJのダレン・エマーソン Darren Emerson を加えてテクノ・ユニットとして再スタートを切ります。一般に知られているのはこの再スタート後の活動ですね。

そんな彼らの名盤を3枚、セレクトしてみました。

dubnobasswithmyheadman (1993)

1993年の実質的な1stアルバム。1曲目「Dark & Long」からキックの音を強調したクラブサウンドとなっています。

2曲目「Mmm… Skyscraper I Love You」はシングルとしてもリリースされた彼らの代表曲。6曲目「Dirty Epic」は気だるいヴォーカルとギターサウンドが印象的な名曲です。7曲目「Cow Girl」も彼らの代表曲で、重層的に重ねられたヴォーカルとエッジの立ったシンセの音色が際立っています。

本作は同製作時期にレコーディングされた大量の音源が追加されている「Super Deluxe Edition」が存在しており、デジタル配信等で聴くことができます。彼らを一躍メジャーシーンに押し上げたシングル「Rez」、「Dirty Epic」の別バージョンでありシンセの音色が強烈な「Dirty」、「Dark & Long」の別バージョンでよりダンストラックとしての面を強調した「Dark Train」など、名曲が数多く含まれています。

Beaucoup Fish (1999)

1999年の3rdアルバム。カールのヴォーカルをフィーチャーしたトラックが多く、着実に進化したそのサウンドを聴くことができます。

オープニングトラック「Cups」は11分超の長尺で、浮遊感漂うシンセとヴォーカルの続いたのち、8分あたりからファットなシンセの音色が入り雰囲気が一変します。後半はサンプリングされた女性のヴォイスが細かく切り貼りされており、言語として聞き取れない音の断片が独特のグルーヴを生んでいます。

2曲目「Push Upstairs」は重たいバスドラムの音色にカールのヴォーカルが乗る彼らの代表曲。3曲目「Jumbo」は優しい雰囲気のヴォーカル曲です。4曲目「Shudder/King of Snake」はこれまた彼らの代表曲で、カールのヴォーカルが素晴らしいアップテンポなナンバー。

7曲目「Bruce Lee」も面白いトラックです。アルバムのラストはたたみかけるようなヴォーカルが圧巻の「Moaner」で幕を閉じます。

Oblivion with Bells (2007)

2007年の5thアルバム。ダレン・エマーソンは3rdを最後に脱退しており、ユニットはカールとリックの二人となりました。サウンド面でやや落ち着きが見られ、ますます完成度の高まった名盤です。

本作ではヴォーカル曲とインストのバランスが非常によくなっています。1曲目「Crocodile」はシングルカットされたヴォーカル曲で、リズムトラックが気持ちいいです。曲はシームレスに2曲目の「Beautiful Burnout」へと繋がっています。こちらも落ち着いた美しさのある非常にいい曲。

3曲目の「Holding the Moth」、5曲目の「Ring Road」は歌モノというよりラップで、これが非常にいい味を出しています。9曲目の「Faxed Invitation」でも同様の表情を見せていますね。アルバムは非常に美しいトラック「Best Mangu Ever」で幕を閉じます。