入門編: The Replacements の名盤を探る

アメリカのロックバンド、ザ・リプレイスメンツ The Replacements。

フロントマンはリードヴォーカルでソングライティングも行うポール・ウェスターバーグ Paul Westerberg です。初期は荒々しいパンクサウンドを聴かせていましたが、アルバムが枚数を重ねるにつれて落ち着いた大人のロックへと進化しています。

そんな彼らの名盤を3枚、セレクトしてみました。

Let It Be (1984)

1984年の3rdで、彼らを代表する名盤です。1stで見せたような激しいパンクサウンドはやや変化を見せ、激しさと落ち着きが同居しているようなアルバムとなっています。

1曲目「I Will Dare」はバスドラムの音色が曲を引っ張るという少し珍しいノリの軽快なロックナンバー。マンドリンの音色も聴こえてきます。2曲目「Favorite Thing」は勢いのあるギターとベースのフレーズから、パンク調のヴォーカルが続きます。

曲は激しい曲もあり静かな曲もありますが、全体的に不思議と詩的な印象を受けます。パンクの影響下にあるのに、どこか落ち着いた印象も受けるのはウェスターバーグのセンスによるものでしょう。

7曲目「Unsatisfied」はこのアルバムを代表する名曲で、ウェスターバーグが存在感のあるかすれ声で「I’m so, I’m so unsatisfied」と歌います。8曲目「Seen Your Video」は3分少々あるのに冒頭2分半近くがインストという面白いナンバー。12曲目「Sixteen Blue」も彼らの詩的な面がよく現れた名曲です。

Tim (1985)

1985年の4thで、サウンドの面でさらに円熟味を見せるようになった作品です。

1曲目は明るめのロックナンバー「Hold My Life」で幕を開けます。3曲目「Kiss Me On The Bus」も明るい印象。明確にというわけではないですが、どこか楽しげな曲が多いような気がしますね。

7曲目「Bastard of Young」はこのアルバムの中心に位置する名曲。9曲目「Left of the Dial」はカレッジ・ラジオについて歌った曲で、どこかノスタルジーを感じさせる曲。アコースティックナンバーの11曲目「Here Comes a Regular」でアルバムを幕を閉じます。

All Shook Down (1990)

1990年の7thで、彼らのラストアルバムでもあります。サウンドは落ち着きを見せ、完全に大人のロックになっています。

1曲目「Merry Go Round」から優しいヴォーカルで始まります。3曲目「Nobody」はアコースティックとエレキのギターの音色がうまく組み合わさったナンバー。

4曲目「Bent Out of Shape」はヴォーカルとギターが奏でるメロディの美しい曲。のちのウェスターバーグのソロ作にも通じる感触の作品です。5曲目「Sadly Beautiful」はアコギによる弾き語りにも近い雰囲気の曲で、彼らの初期の作品からは考えられない作風です。

アルバム後半にもアコースティック中心の曲が並びます。10曲目「Happy Town」はオルガンによるソロも面白い曲。アルバムのラストは「The Last」というピアノとヴォーカルによる曲で締められています。