うつ病でも無理なく仕事を続けるコツ

うつ病という病気を抱えながら仕事を続けていくには、さまざまな工夫が必要となります。一度うつ病を経験したということは、何か生き方を見直すべきだというサインであることが多いですし、そうでなくても一度病気を経験した身体というのは以前ほど強くはなくなっているものです。

そんなうつ病を抱えながら働いていくヒントについて述べたいと思います。

とにかく人に頼る

とにかく人に頼りましょう。これがまず最初にできるようになったほうがいいことです。うつ病になる人の多くは、責任感が強く、何でも自分の力でどうにかしなければならないと思いがちです。それはあなたの長所でもありますが、同時にあなたを苦しい立場に追い込んでしまう性質でもあります。

仕事のチームプレイです。働くそれぞれの人の長所がそれぞれの人の短所を補い合って成立しています。仕事上で難しいと感じたことがあったら、素直に上司や同僚に困っていることを相談しましょう。ヘルプサインを出せるようになるのです。

ひょっとしたら責任感の強いあなたは、前回うつ病で体調を崩してしまったときにも、直前になるまで上司にも気づかれないくらい、自分の状況を隠し通せてしまったかもしれません。しかし、そこはオープンにしたほうがよいところでした。職場において「うまくいっていない」ということは、むしろ積極的に共有したほうがよい事柄なのです。

人に相談をすることは苦手でしょうか。相手に迷惑をかけてしまわないか心配でしょうか。大丈夫です。そんなに迷惑にはなりません。部下の問題を解決することは上司の仕事の一部です。職場では解決すべき問題が日々たくさん起きており、あなたの困りごともその中の一つとして、意外にも淡々と処理されるでしょう。

もっともっと人に頼る

職場の外でも人に頼りましょう。以前体調を崩してしまったとき、家族や友人にご自身の辛い状況を話すことができたでしょうか。おそらくしなかったという人も多いと思います。

今度再び仕事が辛くなってきたら、迷わず近しい人に相談しましょう。何か解決法を求める相談ではなく、「今こんなことで辛いんだ」と話を聞いてもらうだけでも構いません。それだけでも随分と楽になります。

おそらく周りの人は今のあなたが思っているより親切です。きっと親身になってくれる人がいるでしょう。もちろんメンタルの病気というものに理解がない人はいます。そういう人と話すと「やっぱり話さなきゃよかった」などと落胆するものですが、そういう人はそういう人です。しょうがないのです。私は一部にそうした無理解な人がいることは否定しませんが、それでも積極的に人に助けを求めてみる価値はあります。

趣味で生活に張り合いをつける

あなたは何か趣味をお持ちでしょうか。一度うつ病を経験した人というのは、病気に生活が飲み込まれます。働き続けられるのかという不安が常に襲ってきて、いつでも病気のことを気にするようになって、灰色の生活になりがちです。視野が狭まってしまうのです。

土日などに楽しめる趣味を持ちましょう。これは気分転換というメリットがあるだけではなく、趣味が楽しめなくなってきたら病気が悪化してきているサインとして読み取ることができます。

ちなみにこの記事の筆者の趣味は楽器を弾くことです。楽器は人と集まって一緒に弾くことができるので、楽しい友人関係の中でリフレッシュするという大きなメリットがありました。そして楽器を弾くことは意外と頭を使うので、好調・不調のサインを読み取るのにも役に立ちました。

趣味がないという方は、これから見つけていってみましょう。もしあなたが休職中でしたら、趣味を見つけてもう少しゆるやかに生活を楽しむ、ということを休養生活の隠れたテーマにしてみてもいいかもしれません。

家事を最小限にする

フルタイムの仕事というのは、ただでさえ平日の昼間のほとんどの時間を占有しています。その上、生活のこまごまとした家事などを行うとなると、時間がいくらあっても足りないように思えてきてしまいます。

私がおすすめしたいのはミニマリスト生活です。いらないものを断捨離して、最小限の持ち物しか持たないようにするのです。これを行うと掃除なども楽になり、生活の手間は随分と少なくなります。私はミニマリスト生活を始めてもう10年ほどになりますが、慣れてくると非常に快適です。

自炊のルーチン化も行いましょう。私は以前、半分冗談で(半分は本気で)「自炊が続かない人におすすめの鍋生活」という記事を書いたことがあります。ここで書いた方法は少し極端な例かもしれませんが、あなたなりの方法で、負担のない自炊の方法を見つけるとよいでしょう。

よく眠る

毎日よく眠るようにしましょう。うつ病を抱える人にとって、睡眠は何としてでも死守すべきものです。夜更かしはNGです。毎朝「よく眠れたな」と感じられる程度には睡眠時間を確保できるよう、逆算して就寝時間を考えましょう。

ちなみにこの記事の筆者はいわゆるロングスリーパーらしく、毎日9時間程度眠らないと良好な体調を維持できません。必要な睡眠時間は人によって異なるでしょう。ベストな睡眠時間を見つけましょう。

休日の昼寝の習慣もいいでしょう。私は休日はほぼ必ず昼寝をするようにしています。ただでさえ短い休日がさらに短くなってしまいますが、その分起きたら「さあ楽しむぞ!」となるので、休日の予定にメリハリをつけることもできます。

限界が来る前に休む

ふつう、人は具合が悪かったら休むものです。あなたが体調を崩す前はどうでしたか。なんだか調子が悪いと感じているのに休むことをせず、気がついたらうつ病になってしまっていた、なんて流れではなかったでしょうか。

具合が悪いときは容赦なく休みましょう。ためらってはいけません。「無理すれば行けるかも」という思いが頭をかすめるかもしれませんが、その「無理すれば」というのが元凶なのです。無理をしなければできないのならば、してはいけません。

私は以前、面白い話を聞いたことがあります。「仮病を使ってでも休みたいと思っているときは、どのみち心と身体が悲鳴を上げているサインなのだから、俺は適当な理由をつけて休むことにしている」というのです。これはよい考え方です。

限界が来たらもちろん休む

もしあなたの運が悪ければ、一度うつ病で休職して復帰したにも関わらず、再び休職の危機を迎えてしまうかもしれません。そういう場合はしょうがないです。休みましょう。

一度休職してしまったあと、二度の休職したくないという気持ちは分かります。もうひと踏ん張りすれば乗り越えられるかもしれない、という場合もあるかもしれません。しかし、また限界を迎えてしまった上にさらに休まずに無理を重ねることで、回復が余計に遅れてしまうというケースもあるのです。この辺りは非常に判断が難しい問題です。あなたが再び限界を迎えてしまったという場合は、主治医の先生とよく相談して判断を行うといいでしょう。

あなたがうつ病の再発という危機を乗り越え、無事に働き続けられることを祈っています。