貯金と貯蓄の賢い仕方

生きていく上で、どうしても必要となってくるのがお金です。大切な話であるにも関わらず、あまり表立って語られることのない貯金と貯蓄について、今回は考えてみたいと思います。

最初の一歩は把握から

あなたは毎月いくらのお金を使って、毎月いくらのお金が入ってくるのかを把握しているでしょうか? だいたいの金額でいいので、すぐに答えることはできますか?

たとえばダイエットに取り組もうとするとき、体重計を使わずにダイエットを始める人はおそらくいないでしょう。貯蓄も同じです。収入と支出を数字で把握することが必要です。

私は以前、家計簿が続かない人に向けて、表計算ソフトで実現できるお手軽な収支の把握方法について書いたことがあります。自分の毎月の収入と支出を把握していないという人は、まずはここから始めるとよいでしょう。以下の記事をご参照ください。

節約は大きなものから

節約を考えたとき、スーパーで1円単位で安い食材を探すといった行為はあまりおすすめできません。節約は金額が大きいものから手をつけましょう。毎月の支出で金額が大きいものはないでしょうか。

たとえばあなたが毎日の出勤前に、お気に入りのコーヒーショップで500円のラテを買う習慣があったとしましょう。月あたりの出勤日が20日と考えたら、これだけで毎月10,000円の出費です。もしあなたが無類のコーヒー好きで、毎朝のラテが生活の質(QOL)の向上に大きく役に立っているというのなら、この習慣を続けるのもよいでしょう。しかし、もしこれが「なんとなく」惰性で続けている習慣だとしたら、そこは見直す価値があります。生活の中の支出の費用対効果を常に考えるようにしましょう。

リスクに対する考え方を見直そう

多くの人は、金銭的なリスクを嫌います。たとえばあなたは投資をしているでしょうか。「していない」と答える人も多いと思います。

しかし、あなたは生命保険などに加入していないでしょうか。これは「自分の健康状態が悪くなることに賭ける」という行為です。健康状態が悪くなったらリターンがもらえるという条件のもとに、掛け金の支払いを行っています。これはある種の見立てをもとに、リスクを取るという行為を実際に行っているのです。掛け金は実際にあなたの手元から消えていっています。

あるいは、あなたは手持ちの資産をすべて現金預金で持っていないでしょうか。現金の価値というものは、インフレやデフレにより変動します。預金が元本保障されるというのは、額面の数字だけの話です。その数字が表す実際の価値は、時間とともに変化しています。手持ちの資産をすべて現金預金で持っているということは、「インフレしないことに賭ける」という行為です。あなたはここでも、ある種の見立てをもとに、何らかの選択を行っているのです。

おそらく世の中の多くの人は、投資というものをどこか「怪しげなもの」として感じていることでしょう。それもある意味では間違っていません。世の中にはギャンブルめいた怪しい儲け話が溢れているからです。一般に、これは投機といって投資とは区別されます。

先に挙げた生命保険や現金預金の例のように、あなたは無意識のうちにリスクに関する選択を行っています。これを意識的に行うようにしましょう。貯蓄を行う上で、投資や金融に関するリテラシー(理解)はなくてはならないものです。たとえ今すぐ投資を始めないにしろ、投資に関する理解が重要になってくるということは覚えておきましょう。

健全で合理的な投資を行おう

先ほど「たとえ今すぐ投資を始めないにしろ」と書きました。しかし、実際には投資は早く始めたほうがいいのです。健全で合理的な投資は、長期投資を前提としています。20年や30年といったスパンで物事を考えるのです。これは始めるのが早ければ早いほど、リターンが大きくなる見込みが高いということを意味しています。

私が他の記事でもよく触れていますように、健全で合理的な投資とは、十分に国際的に分散された株式インデックスへの長期投資のことを指しています。これは一般的に「インデックス投資」と言われる手法です。

おそらく長期で蓄財というものを考えるのならば、インデックス投資は有力な手段となりうるでしょう。とある研究によると、米国株式の過去200年間に渡る実質リターンは平均して年利7%程度だったという結果があります。これは普通預金などについてくる利息と比べると桁違いの大きさです。

私はインデックス投資に関する記事を数多く書いていますので、このブログの「投資」タグの記事一覧を見るか、以下の記事を参照してみるとよいでしょう。

おわりに

収支の把握、大きな支出の見直し、リスクに対する考え方の見直し、投資の実践、ということでお話をしてきました。この記事はここでおしまいです。怪しい商材への誘導などはありませんのでご安心ください。

慣れてくると、貯蓄や投資というのは一種の生活の楽しみになります。自分の生活の基盤を一歩一歩着実に固めていく、というその行為そのものが楽しいのです。

あなたにとってお金が苦しみのもとではなく、生活を豊かにしてくれるものであることを祈っています。