うつ病で再発を繰り返してしまう人へ – 予防のヒント

うつ病は再発率の高い病気として知られています。一回で治ってしまうこともありますが、再発を経験してしまうこともあるでしょう。今回はうつ病の再発について考えてみたいと思います。

自信をなくさないで

おそらくうつ病の症状としてあまり注目されていないにも関わらず、本人に非常に重くのしかかっているのは自尊心の低下なのではないでしょうか。自尊心とは、自分は価値のある人間なんだ、いろいろな長所があっていろいろなことができる人間なんだという感覚です。

うつ病の症状の酷いときであれば、当然「病気の症状として」前向きな気持ちは失われます。しかしながら、うつ病で仕事に穴をあけてしまった、復職したのに失敗してしまったという経験は、病気の症状としての一時的な自尊心の低下ではなく、症状が治ったあとも続く長期的な自尊心の低下に繋がりやすいのです。自分はダメな人間だ、社会でうまくやっていけない人間なんだ、と本気で思ってしまうのです。

これを読んでいるあなたがうつ病の再発を繰り返してしまう当事者であるなら、どうか自信をなくさないように、治るという望みをなくさないように希望します。うつ病という病気はあまりにも強力で、まるで天災のようなものです。あなたはそれに抗うことができなかったかもしれませんが、それはあなたのせいではありません。

ご存知のように、うつ病は希死念慮(死にたいと思う症状)の出る病気です。普通の人が死にたいと思ってしまうほど苦しい病気なのです。自信をなくすな、希望を持てと言われても、それはおそらく相当に困難なことです。しかし私は繰り返しますが、あなたが自信と希望を失ってしまわないように望みます。

回復のステップはトライアンドエラー

うつ病というのは病気の症状だけでも苦しい上に、それが非日常的な経験であるからなおさら戸惑うのです。仮にうつ病で休職して復職したあと、再び体調を崩して再休職をしてしまった人がいるとしましょう。この人は「また失敗してしまった」と思って絶望してしまうかもしれません。しかし、正確にはこれは違います。「うつ病からの最初の復職」という、生まれて初めてする経験での失敗なのです。

それがどんな経験であれ、初めて経験する出来事を失敗せずにこなすということは難しいことなのです。うつ病からの復職も同じです。ましてや、うつ病から復職した人というのは病み上がりの身です。普段よりも調子の悪い状態で、初めて行う経験にトライするのです。これでは最初から上手くいくほうが珍しいと思いませんか。

そういうわけで、うつ病からの回復のステップはトライアンドエラーになります。一発ですっきり回復するようなイメージは持たないほうが無難でしょう。あなたはうつ病という大きな苦しみを背負った上で、なぜ回復の過程にまでこんなに苦しまなければならないのかと思うかもしれません。病気というのは理不尽なものです。それでも私たちは前を向いて生きていく必要があります。

おわりに

私は以前、「うつ病でも無理なく仕事を続けるコツ」「うつ病と転職、退職」といった記事を書いたことがあります。よろしければそちらもご参考にしてみてください。

うつ病の再発というのは大変に苦しい問題です。自信と希望をなくさないで、というのは本文中で述べたとおりです。あなたがうつ病という苦しい試練を乗り越えて、前向きな人生を掴んでいくことを願っています。