本当に投資初心者におすすめなのか? バランス型ファンドを考える

投資信託には、株式や債権、REITなどを均等なバランスで組み合わせたバランス型ファンドが存在しています。初心者向けとも言われることのあるバランス型ファンドについて、今回は考えてみたいと思います。

バランス型ファンドの実例

身近な例として、実在するバランス型ファンドを1つ取り上げてみましょう。三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim バランス (8資産均等型)」です。

このファンドは、投資された資金を以下の8資産に均等に配分するという作りになっています。なおここで出てくる「REIT」とはリート、不動産投資信託のことですね。

  • 国内株式
  • 先進国株式
  • 新興国株式
  • 国内債権
  • 先進国債権
  • 新興国債権
  • 国内REIT
  • 先進国REIT

一見すると国内・先進国・新興国のバランス、株式・債権・REITのバランスが取れているように思えます。しかしちょっとこれ、問題があるんですよね。詳しく見ていってみましょう。

実はアンバランス

まず株式全体を100%として見ると、国内・先進国・新興国を3分の1ずつ分割しています。これが実はちょっと危なっかしいです。

国際分散投資を行うということは、普通は特別な意図を持たずにフラットに分散させるというのが理想的であるはずです。おそらくここで言うフラットな分散というのは、各国の株式市場の時価総額の割合に合わせて分散させるというのが理想なのではないでしょうか。

少し古いデータになってしまいますが、2007年の株式資本の国別シェアというデータがあります。それによりますと、日本のシェアは9.4%、日本を除く先進国のシェアは84.0%、途上国のシェアは6.6%です。おやおや? 先ほどのバランス型ファンドの分配をもう一度考えてみましょう。均等な分割ですから、33.3%ずつです。随分隔たりがありますね。

世界の株式市場全体を見たとき、市場のシェアの中心となるのは日本を除く先進国です。つまり、日本に33.3%、新興国に33.3%というのは割合が高すぎるのです。バランス型と言いつつ、アンバランスになってしまっているわけですね。知らない間にいびつな形でリスクを取りすぎてしまっているかもしれないわけです。

債権は必要か

ここまでは株式の話でしたが、次に債権の話です。投資対象の資産区分を分散させるという意味では、バランス型ファンドに債権が含まれているというのは一見するといいことのように思えますね。

ただ、注意しておくべきことがあります。債権は株式よりもリスクが低いと思われがちですが、長期のデータではそうではありません。具体的には、20年間保有した場合には株式と債権のリスクはほぼ同程度です。さらに長期間で30年間保有した場合には、株式のリスクは債権のリスクよりも低くなります

この辺りについては以下の記事で詳細に触れましたので、よろしければご確認ください。

債権のリターンというのは基本的には株式よりも低いものです。その上で、長期保有するとリスクは株式より高くなってしまうというやっかいな性質を持っています。

もしあなたが長期投資を前提としているのなら、債権を保有するということはリスクを引き下げる役割を果たさないにも関わらず、リターンを押し下げてしまう要因になってしまう可能性があるのです。

おわりに

今回はバランス型ファンドの欠点について取り上げてみました。ポイントは国際分散のアンバランスさと、債権の必要性という2点です。

REITの必要性については各人の好みの分かれるところだと思いますので、今回は取り上げませんでした。私は個人的には、REITの分散効果を狙うよりも、株式一本に絞ってリターンを高めるほうが好みではあります。

私は他にも投資関係の記事をたくさん書いているので、よろしければそちらもご参照ください。では、みなさんの投資がどうか実を結びますように。