投資を行う以上、将来的にどのようなリターンが返ってくるのか、できれば知りたいですよね。今回はそんな投資運用のシミュレーション方法について語ってみたいと思います。
この記事で述べるシミュレーション方法は以下の3つです。
- 年利何%という仮定の数字を使用した方法
- 実際の過去の株式インデックス等のデータを使用した方法
- 実際の過去のデータでドルコスト平均法を使用した方法
では、順に見ていってみましょう。
仮定の数字でシミュレーションする場合
まず最初に説明するのは、「100万円を年利5%で10年運用したらいくらになるか知りたい」といった具合に、仮定の数字を使用する場合です。その場合は、以下の計算式でシミュレーションすることができます。
元本額 * (1 + 年利 * 0.01) ^ 運用年数
ここで「*」の記号は掛け算、「^」はべき乗の意味です。Googleの検索窓は電卓機能も備えているので、先の例「100万円を年利5%で10年運用したらいくらになるか」を計算したい場合、Googleの検索窓に以下のように打ち込んで検索してみましょう。
100 * (1 + 5 * 0.01) ^ 10
検索結果の画面に「162.88…」と表示されたと思います。つまり結果は約163万円ということです。
なおExcel等の表計算ソフトを使用したい場合、以下のような関数で計算できます。
= 元本額 * power(1 + 年利 * 0.01, 運用年数)
ちなみに一般的な表計算ソフトの場合、年利の部分を「5%」などとパーセントの記号をつけてセルに入力すると、内部的な実データは自動的に0.01がかかった値になりますので、数式内の「* 0.01」の部分は不要になります。
実際のデータを使用する場合
次に、実際の過去のデータを使用した場合です。この場合は「myINDEX」というサイトがシミュレーション機能を備えているので、今回はそちらを使用したいと思います。
たとえば、私がイチオシしている株式インデックスである「MSCI World Index」のページを見てみることにしましょう。全世界株式のインデックスで、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などのインデックスファンドを買うことで、このリターンを実現することができます。
myINDEXの該当ページを見てみると、最初に該当インデックスに関する説明があって、次に「過去パフォーマンス実績」という項目がありますね。ここに過去1年、3年、5年…と、年率平均のリターン(利回り)が表示されています。
その下に「いくらになる?」という項目がありますね。ここがシミュレーション機能です。「○○百万円が、過去○○年の運用で」と入力する部分がありますので、そこにシミュレーションしたい金額と年数を入力してみましょう。すると右側の「○○万円に」という欄に結果が表示されます。
たとえばこの記事を書いている2021年3月11日現在では、「100万円が、過去30年の運用で844万円に」という結果が出ます。いやはや、すごいですね、インデックス投資の威力!
さらにドルコスト平均法の場合を考える
実は上記の方法ですが、少しだけ欠点があります。ここで表示されているのは、30年前に100万円を一括で購入した場合のリターンです。
しかし、多くの人はそうした投資の方法は取りませんよね。おそらく毎月5万円ずつですとか、長期間に渡って分割して購入を続けるはずです。いわゆるドルコスト平均法という方法です。
これを本気でシミュレーションしようと思うと、実はけっこう手間がかかります。月単位でやるのはおそらく現実的でないので、年単位で考えるとしましょうか。
まず、GoogleでMSCI World Indexの年次リターンを検索してデータを持ってきます。この記事を書いている時点では、2007年から2020年の年次リターンが%で出てきました。
毎月5万円ずつ投資すると、年間で60万円ですね。ここでは計算を簡単にするために、年初に60万円分を一括で購入するものとします。そして2010年からシミュレーションを始めるものとしましょう。
2010年の年初の時点で元本は60万円、そして2010年の年次リターンはデータによると12.34%ですから、これを掛け算します。すると2010年の年末の時点でのリターンは67.4万円です。
次に2011年の計算に入ります。年初に60万円を足し算して、評価額は127.4万円になります。そして2011年の年次リターンはデータによると-5.02%ですから、再びこれを掛け算します。すると2011年の年末の時点でのリターンは121.0万円です。
さらに2012年の計算に入ります。年初に60万円を足し算して、評価額は181.0万円になります。そして2012年の年次リターンはデータによると16.54%ですから、再びこれを掛け算します。すると2012年の年末の時点でのリターンは210.9万円です。
こんな調子で足し算と掛け算を繰り返していきます。実際にはこれは、ExcelやNumbers等の表計算ソフトを使用して計算するのが賢い方法です。年ごとに行を作り、購入済みの元本額、年次リターン、評価額の3つの列を作るとよいでしょう。
面倒ですか? 確かにちょっと面倒ですね。しかし、投資というのはお仕事と同じです。面倒なものなのです。それでも、本気で稼ぎたいと思っているのなら、表計算ソフトでシートを1枚作るくらいのことは何でもないことでしょう。やってみましょう。
おわりに
投資運用のシミュレーション方法について語ってみました。本文の途中にも具体的な数字が出てきましたが、長期投資というのは本当にびっくりするほどのリターンをもたらすものなのです。長期投資に関しては、私が過去に書いた投資関係の記事もご参照いただければと思います。
あなたが本記事でのシミュレーション結果を元に、実際の投資へと進んでいくことを願っています。