[書評/要約] 沈黙のWebマーケティング

松尾茂起/上野高史による「沈黙のWebマーケティング -Webマーケッター ボーンの逆襲- アップデート・エディション」の書評です。

これ、かなり面白いです。濃ゆいキャラによるストーリー形式でWebマーケティングの基本が語られています。私はわりと活字の多い本が好きで、「別にイラストとかなくてもいいけどな」と思うほうなんですが、この本に関して言えばキャラクターの対話形式は非常にいい味を出してますね。笑えます。では、内容を見ていってみましょう。

あらすじ

舞台はオーダーメイド家具の中小メーカー「マツオカ」。マツオカはWebでの集客に失敗し、売上は激減しています。心労がたたって倒れるマツオカの社長。病に倒れた父に代わって社長代理を勤める松岡めぐみは、インターネット上で噂される「闇のWebマーケッター」ボーン・片桐に助けを求めます。

めぐみの前に現れた謎の男、ボーン。ボーンはめぐみの依頼を無報酬で引き受けると言い切ります。条件はボーンの過去を探らないこと。ボーンの調査により、マツオカのWebマーケティングの失敗は、過去に契約していたマーケティング企業「ガイルマーケティング社」の悪質なSEO対策によることがすぐに判明します。

ボーンはなぜめぐみの依頼を無報酬で引き受けたのか? そこにはボーンの隠された過去、ガイル社との因縁がありました。ボーンの力により、徐々に力を取り戻していくマツオカのWebサイト。そしてボーンの存在に気づき、マツオカへの妨害工作をもくろむガイル社。果たしてマツオカのWebサイトは無事再生を果たすことができるのか? そしてボーンの隠された過去とは!? 今夜も俺のインデックスが加速する…!

本書で述べられる内容

では、本書で述べられる内容の概要を見ていってみましょう。

第1章はSEOの概要です。サーチコンソールの概要と使用方法、ガイドラインを順守したサイト作りの重要性、悪質な人工リンクを受けてしまった場合の対策が述べられています。

第2章では、Webデザインの本質はアーティスティックな点ではなく「言葉」にあると指摘され、顧客が求める情報を載せることの重要性が強調されます。Webデザイナーは「データ」に詳しくなければならない、ロジカルに考えられなければならないといった点も指摘されます。

第3章で紹介されるのは「セールスレター」という手法です。人は論理で納得し、感情で動くという点を理解し、「みなさん」ではなく「あなた」に向けた文章を書こう、と提案されます。クチコミを意識した「ストーリー作り」と、信頼を担保するための「客観的な情報」「リアル感」の両方が必要であると述べられています。

第4章で扱われるのはマーケティングで使用される「SWOT分析」です。SWOTとはStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の略で、「プラス面/マイナス面」と「内部環境/外部環境」で2×2のマトリックスを作り、それぞれについて洗い出すという手法です。ここでは「マイナス面」を発想の転換で「プラス」にできないかといったことが検討されます。

第5章はコンテンツの重要性です。人間心理に響くコンテンツを作成する重要性が述べられています。またセールスをするための「セリング」と、注目やリンクを集めるための「コンテンツ」を分けて考えようといったことも提案されます。

第6章は人の感情に注目したコンテンツの作成についてです。「誰かを不幸にするコンテンツであってはいけない」というポイントや、シェアされやすいコンテンツのパターンについて述べられています。

第7章はソーシャルメディアの活用です。よいコンテンツを作っても、それが露出することがなければ成功できません。ここでは「返報性の原理」を利用したユーザとのコミュニケーションの例などが紹介されています。

第8章はレンタルサーバーについてです。見落とされがちなサーバスペックを選ぶことの重要性などが述べられています。

おわりに

本書で述べられる内容について、駆け足で紹介してみました。上記の要約では具体的な例などを含んでいないため、具体例についてはぜひ本書を実際に手に取っていただくことをおすすめします。