[書評/要約] 10年つかえるSEOの基本

土居健太郎「10年つかえるSEOの基本」の書評と要約です。

本書の副題には「すぐに変わってしまうトレンドを追うより変わらない“考え方”をおさえよう」とあります。その文言に偽りなく、SEOの本質をおさえた入門向けの良書だと思います。

本書の概要

本書は転職先の会社で突然Webマーケティングを任された「すずちゃん」と、すずちゃんの学生時代の先輩でSEOに詳しい「土居くん」の対話形式で書かれています。会話のテンポもよく、非常に読みやすい形式です。

第1章は検索の本質です。検索することは「質問する」ことと同じで、サーチエンジンは「検索する人の質問に回答する仕組み」であることが指摘されています。SEOとは、その質問に対する「回答」を用意し、検索で取り出されやすい状態を作ることです。またその本質を考えると、SEOとは「検索順位を操作するテクニック」ではないということになります。また第2章では、検索する人の行動を具体的にイメージすることの重要性が説かれています。

第3章と第4章は検索キーワードに関する話題です。キーワードを知ることは「みんなが知りたいこと」を知るということだということが指摘されています。コンテンツの作成にあたっては、具体的な検索キーワードを想定して内容を考える必要があります。ここでは検索キーワードを把握するための具体的なツールの説明や、「titleタグにキーワードを含める」「重要なテキストはページ上部に集める」「見てほしい人が使いそうな言葉をなるべく選んで使う」といった具体的な対策の指針が説明されています。

第5章はコンテンツの質についてです。「Contents is King」の標語にも示されている通り、最大のSEO対策は「そこでしか読めない、良質なコンテンツ」の存在であるということが指摘されています。サーチエンジンは「人にとって役に立つ情報を返す」という目的のもとに常にアルゴリズムの改良が行われており、小手先のSEO技術を追い求めるよりもコンテンツの質を高めることの重要性が示されています。

第6章はリンクを集めることの重要性についてです。人間関係のネットワークを増やしていって信頼を得ていくように、リンクという関係を通して長期的にサイトの信頼を集めていくことの重要性が説かれています。ここでは「良質なコンテンツを作る」というきっかけから「人が集まる→リンクされる→人が集まる」という正のサイクルを作ることが大切で、そのためには何よりも「継続」が必要だということが示されています。

第7章では広告とSEOの違いが扱われています。広告が「どうすれば買ってもらえるか」の視点を持つのに対して、SEOに必要なのは「誰が、どういう情報を求めているのか」という視点であり、売り手目線ではなく買い手の期待に沿ってコンテンツを流通させていくことが重要だと指摘されています。

おわりに

駆け足でご紹介してきましたが、本書で強調されているのは、検索という行為をするユーザーの存在や、「人の役に立つ情報を返す」というサーチエンジンのそもそもの目的など、SEOの本質に関することばかりです。

本記事の要約だけでは掴みにくい部分も多々あったかと思いますので、ぜひ本書を手に取ってみてください。