早期リタイアにはいくら必要? 退職に必要な金額を考える

ネット上ではときどき、「早期リタイアにはいくら必要ですか?」といった相談内容の記事を見かけることがあります。今回は早期リタイアに必要な金額について考えてみましょう。

なぜ必要な金額が分からないのか

逆に考えてみましょう。なぜあなたは早期リタイアに必要な金額が分からないのでしょうか。

最初のポイントは、あなたが自分の支出を把握していないからという点ではないでしょうか。私は過去の記事「貯金と貯蓄の賢い仕方」などでも述べていますが、自分の支出を正確に把握するというのは、お金にまつわる話をする上で最も基本的な点です。支出を把握しましょう。すべてはそこからです。

「何歳まで生きるのか」「大きな病気をすることがないか」といった点は、残念ながら知ることはできません。しかし、現在の預金残高と普段の支出さえ分かれば、とりあえず現在の生活を続けた場合にどの程度のスピードで資産が目減りしていくのかを知ることができます。

Excel等の表計算ソフトでシートを一つ作成し、「年齢」「資産残高」の列を作ってみましょう。また、少し離れた位置のセルに「年間生活費」の欄を作りましょう。1行につき1歳、年を取っていく形で、縦長の表を作成します。1行目には現在の年齢と資産残高を入れて、2行目以降は年齢は前年のプラス1、資産残高は前年から年間生活費を引いた値にします。

もう少し本格的に計算するなら、日本年金機構のサイトから年金見込額の試算を行ってみましょう。先述の表計算ソフトの表では、資産残高から単純に年間生活費を引いていくだけでしたが、ここに年金の受給額をプラスするようにして計算するのです。

このような表計算ソフトでの試算を行うだけで、「ある年齢にある資産残高でリタイアしても大丈夫か」については、かなり具体的にイメージを持つことができます。

あなたが投資を行っているなら

もしあなたが株式のインデックス投資を行っているのなら、話はぐっと簡単になります。想定年利年間生活費さえ分かれば、必要資産額は単純な割り算で出すことができるからです。それは次の式です。

年間生活費 ÷ 想定年利 = 必要資産額

当ブログの過去の記事「インデックス投資の平均利回りはどれくらい?」にも書きましたとおり、米国株式の長期のリターンは年利にして7%程度です。ここではより安全に全世界株式を使用するものと想定して、余裕を見て想定年利は5%としておきましょう。

そしてあなたの年間生活費が仮に400万円だとしましょう。そうすると、必要な資産額は次の式で出すことができます。

400 ÷ 0.05 = 8000

つまり、あなたの年間生活費が400万円で株式の想定年利を5%と見た場合、必要資産額は8,000万円という結果になります。

念のため検算してみましょう。8,000万円を株式で持っているとして、想定年利が5%だとすると、8000×0.05=400で、1年間の株式の平均リターンは400万円ですね。これは年間生活費と一致していますから、株式の平均リターンだけで生活費がまかなえる状態になっていることが分かります。

おわりに

今回の記事では、早期リタイアに必要な金額について考えてみました。一つ目は表計算ソフトで資産の目減りを可視化する方法、二つ目はインデックス投資のリターンで年間生活費をまかなう場合の計算式でした。

二つ目の「インデックス投資のリターンで生活費をまかなう」という考え方は目新しかったでしょうか。もしあなたがインデックス投資をまだ行っていないのでしたら、資産形成のために、可能な限り早めに株式のインデックス投資を始めることをおすすめします。

インデックス投資へのすすめについては、私は過去に「株式投資入門: 簡単で確実な投資の方法とは」という記事を書いているので、あわせてそちらもお読みいただければと思います。

では、夢の早期リタイアに向けて頑張っていきましょう。今回の記事はこの辺で。