うつ病で眠れない…そんな時には

うつ病の代表的な症状には不眠があります。夜になっても寝付けない。夜中に起きてしまう(中途覚醒)。早朝のまだ暗いうちに起きてしまう。辛いですよね。

逆説的ですが、眠らなければ「ならない」と思うと余計に辛くなります。余計に眠れなくなるかもしれません。まずは「眠れないのだ」という事実を受け止めてみましょう。

あなたは今、休職中ですか? 仕事を休んでいるのであれば、一日くらい眠れなくたって大したことにはなりません。生活リズムが崩れてしまう? 確かに生活リズムは整っているに越したことはありません。しかし、眠れないのはそれなりの理由があるのかもしれません。たとえば無意識のうちに、昼にみんなが働いている時間に起きているのが辛くて、夜にみんなが休んでいる時間に起きているのは比較的安心する、と感じてはいないでしょうか。そうだとしたら、あなたは「自分に鞭打って」でも夜に眠ろうとしますか。それとも昼間より安心できる夜を、そういうものとして受け入れたほうがよいのでしょうか。

ひょっとしたら、あなたのうつ病には「〜せねばならない」というmustの思考が深く深く根を張っていないでしょうか。仕事を頑張らなければならない。よき社会人でなければならない。よき家庭人でなければならない。そうして頑張り続けてきたあなたは、うつ病になった今も、できる限り早く治らなければならない、良い患者でなければならない、身体に良いことをしなければならない、と思っていませんか。だからあなたは思うのではありませんか。夜はしっかり眠らなければならない、と。

うつ病は心の悲鳴です。もしあなたが「眠らなければならないのに眠れない」と思っているのなら、どうか一度だけ、「眠らなければならない」という思考を解除してみてください。眠れなければならない、なんてことはありません。眠れるのと眠れないのとでは、それは眠れたほうがよいでしょう。しかしmustではありません。あなたを苦しめるのはこの「ならない」の思考です

今これを読んでいるあなたは、まさに夜中に眠れない真っ最中かもしれません。でしたら、眠気がやって来るまで、少し考えてみてください。あなたを苦しめる「ならない」の正体とはいったい何なのだろうと。深く考えなくてもいいですよ。こうせねばならない、ああせねばならない、と思ってきたこと、ありませんか。

あなたのうつ病の治療のプロセスは、ひょっとしたらそんな「ならない」の思考をひとつずつ外していくプロセスになるかもしれませんね。

では、あなたに安眠が訪れますように。

MOL53 x Ogre Wave – City of West (2018)

現在はRAWAXXX(ロウワックス)のMCネームで知られるラッパーのMOL53(モエルゴミ)と、トラックメイカーのOgre Wave(オーガ・ウェイヴ)による2018年のアルバム。MOL53名義では最後の作品になるそうです。

MOL53のフルアルバムには、バラエティに富んだ楽曲が印象的だった2015年の「REVIVAL」、高いラップスキルと呼煙魔によるトラックによりさらに一段上のレベルへと引き上げられた2016年の「ANTITHESIS」がありました。ともに名盤だったと思います。

前2作と比較して、まず目についたのは32分という収録時間ですね。前2作はともに1時間前後ありましたから、今回はギュッとまとめてきた感じです。意外にもこの収録時間がこのアルバムの質感を引き締めている気がしますね。もっと聴きたい! とは思うんですけど。

Ogre Waveによるトラックの質感はなんというか、非常にドライでタイトな感じですね。MOL53によるリリックも、今作ではメッセージ性よりも純粋な音の並びとしての気持ちの良さが引き立っている気がします。「ANTITHESIS」には和洋の「和」の要素を感じさせるものがありましたが、今作もまたダークな中にどこか和を感じさせる部分があります。

個人的なベストトラックはTr.13のタイトルトラック「City of West」かな。Tr.12の「2 Trandition」もいいです。まあでも、全曲いいですね。

今も第一線で活躍するラッパーによる、ジャパニーズ・ヒップホップの名盤と言えると思います。

【Track Listing】

  1. New Rapid -Introduction-
  2. Section
  3. Afterimage
  4. Spree (feat. Young Cee)
  5. Interval
  6. Devil Fruit -Green Bridge-
  7. Constructs (feat. ???)
  8. Ransacked (feat. EASY)
  9. Interval
  10. Pay Back (feat. EASY)
  11. Rust Not soul
  12. 2 Tradition (feat. AKY)
  13. City Of West

Mantronix: The Album (1985)

説明不用の名盤…と言われるわりに日本語の情報は少ないですね。マントロニクス Mantronix による1985年のファーストアルバムです。ヒップホップ・クラシックとも呼ばれる一枚です。ユニット名はマントロニクとも表記されるようです。

Mantronix はDJ/プロデューサーのカーティス・マントンロニクス Kurtis Mantronix とラッパーのMC ティー MC Tee の二人からなるユニットです。サウンド的にはエレクトロ、エレクトロ・ファンクと呼ばれるジャンルで、いわゆる打ち込み(シーケンサー)を使用したヒップホップの草分けとして知られています。ニューヨークで活動していたようです。

時代的にはクラフトワーク Kraftwerk のコンピューター・ワールド Computer World が1981年、エレクトリック・カフェ Electric Cafe が1986年。アート・オブ・ノイズ The Art Of Noise の1stアルバム Who’s Afraid Of The Art Of Noise が1984年ですから、1985年というと本当に打ち込みというものの初期の時代を築いた作品ですね。

そしてサウンドのもうひとつの核となるのは MC Tee によるラップで、これは心地よいです。歌詞をあまりちゃんと読んでいないのですが、あまり攻撃的な感じではないですね。

グループは2ndアルバムの Music Madness (1986)、3rdアルバムの In Full Effect (1988)をリリースしたのち、MC Tee がアメリカ空軍に入隊するためグループを離れます。その後はメンバー変更を経て、1991年頃まで活動したそうです。

有名どころだと革新的なエレクトロニック・デュオ、オウテカ Autechre が彼らの影響を受けていたことでも知られています。無機質な彼らのビートの底に、こうした肉体的なグルーヴがあるというのはちょっと面白いですね。

鈴木大拙 – 禅 (ちくま文庫, 1987)

禅を西洋に広めた仏教学者として知られる鈴木大拙。大拙の著作はかなり読みましたが、ちくま文庫の「禅」は絶好の入門書であると同時に、最も鮮やかに大拙の思想を切り取ったものだと思います。

冒頭の「はしがき」によると、過去45年間に公にした英文の著作から、禅の本質と思われるものを選出して訳した本とのこと。「はしがき」の日付には1964年とあり、大拙は1870年生まれですから実に94歳頃、亡くなる2年前のことになります。大拙の著作の集大成と言えるでしょう。翻訳は工藤澄子によります。

個人的にはこの本を通して、私は「悟り」とは何かということに触れたような気がします。人生を変えた一冊と言っていいです。すごすぎてとても解説できる気がしないので、本書からの引用を中心に紹介したいと思います。

まずは「はしがき」から。

“それで、この書を一読すれば、大体、近代的に禅の何たるかを知得することができるわけである。しかし禅は知得するだけでなく、体得がなくてはならぬものゆえ、その知得底だけで満足すべきでないことは、今さら言うまでもないと信ずる。”(p.7)

これは禅の大前提ですね。しかし禅の知的な面への切り込みという点だけでも本書は傑出しており、この読書体験そのものが何らかの特別な「体験」と言えなくもない気がします。

以下は第一章の「禅」から、少し長めの引用です。これはすごいですよ。

“「問答」においては、神、救済、啓示、罪、赦しなど、通常宗教的もしくは精神的と考えられている問題にはまったく言及されない。この欠如はまことに顕著である。われわれの高い精神的な願いは言うにおよばずとして、日常の生活に、智慧の目覚めがどんな意味をもっているのだろうか。禅は、皿を洗うことに救いを見出すというのか。土を耕すことに、物を売ることに、救いを見出すというのか。花を眺めることの中に、あるいは挨拶を交わすことの中に、何か啓示があるのだろうか。禅僧が時々やるように、訳のわからない叫びを発することに何らかの解脱があるのだろうか。禅は議論をしたり、学説を立てたり、説教したり、説明を試みたりすることを拒む。それどころか、自分の中から出てきた問いに対する答えは、自分自身の中に見つけ出せ、と言う。なぜならば、答えは問いのあるところにこそあるからである。禅僧は言う、「わしの言葉はわしのもので、お前のではない、お前のものとはなり得ない。すべてはお前自身の中から出てこなければならぬ。」”(p.15)

最後の一句は「悟り」の定義そのものと言ってもいいのではないでしょうか。

“ひとりの僧が師匠にたずねた、「悟りを体験する以前の人はどんな人間でしょうか。」「わしらと同じ、普通の人間だ。」「では、悟りの後はどうでしょうか。」「頭は灰だらけ、顔は泥まみれ。」僧はさらに問うた、「それで結局はどういうことですか。」「ただそれだけだ。たいしたことはない。」これが答えであった。”(p.16)

これも禅に特有の考え方をよく表した表現ですね。続く第二章の「悟り」にも、同じく面白い表現があります。

“「神とは何か」と問うならば、禅匠は答えて言うであろう。「お前は誰か。」 問い「キリストは私を救い得るであろうか。また救いたもうであろうか。」 答え「お前はまだ救われていない。」 問い「仏陀は本当に悟っていたのか。」あるいは「<悟り>とは何か。」 答え「お前は悟っていない。」 問い「達摩(Bodhidharma)はインドから、どんな教えをもたらしたか。」 答え「即今、お前はどこにいる。」”(p.28)

また次のやりとりも、禅における「悟り」を非常によく表していると思います。

“ある時、趙州が南泉に問うた。 「道とは何ですか。」(道とは、ここでは、実在を意味するものと解してよいであろう。) 南泉「お前の平常心、それが道だ。」 趙州「それには、何か特別の修行の方向づけがありますか。」 南泉「ない。向かおうとすれば、すでにそむく。」 趙州「もし向かわなければ、どうして道を知り得ましょうか。」 南泉「道は知にも属さず、また不知にも属さない。知は迷いであり、不知は無智である。疑いの影さえささぬ道に到れば、おまえは、それは無限に拡がる一大虚空のごときものだと知るであろう。かぎりなく空で、善悪の入る余地もない。」”(p.29)

「平常心是道」という有名な言葉の元となったやりとりです。

第三章の「禅の意味」には、大拙自身によるこのような表現もあります。

“一般に、われわれはこの事実、すなわち、われわれは自分を幸福にし、たがいに愛し合って生きて行くのに、必要な機能をことごとくそなえているのだという事実に、気がつかないでいる。われわれの周囲に見られる争いはみな、この事実を知らないことから起る。そこで、禅は、仏教徒のいわゆる「第三の眼」を開けという。みずからの無知のゆえに固く閉ざされて、これまでに夢想だにもしなかった世界に向かって、眼(まなこ)を開けという。無知の雲が消え去れば、天空の無限が現われて、そこにはじめて、われわれは自己の存在の本性を見る。いまこそわれわれは人生の意義を知る。人生は、盲目的な努力でもなく、また単なる獣的な力の表現でもないことを知る。そして、人生の究極の目的が何であるかはさだかにはわからないけれども、そこには何ものかがあって、この人生を生きることに無限の幸福を感じさせ、人生のさまざまの展開にまったく満足して、何の疑問も起さず、また厭世的な疑問も抱かしめないことを知る。”(p.42)

これはまったく素晴らしい、宗教的な人生肯定だと思います。

再び禅の表現として、次のような比喩に関する記述があります。

“禅が好んで用いる比喩がある。月を指すには指が必要である。だが、その指を月と思う者はわざわいなるかな。魚を持ち帰るには籠が重宝である。だが、魚はもうちゃんと卓上にあるのに、なんでいつまでも籠を気にすることがあろうか。ここに事実がある。(中略)自然が真空を嫌うように、禅は、事実とわれわれとの間に介入するものをすべて嫌う。禅によれば、事実そのものの中には何の葛藤もない。有限と無限の葛藤もなく、肉と霊の葛藤もない。これらは、知性がおのれの興味のためにかりに作り出した無意味な区別にすぎない。これをあまりまじめに受けとったり、あるいは人生の事実そのものと解釈しようとする人は、指を月と受けとる人である。われわれはひもじい時には食べる。眠い時には横になる。どこに無限や有限が入ってこようか。わたしはわたし自身で完全であり、かれはかれ自身で完全ではないか。”(p50-51)

そして以下のように続けます。

“もしあなた方が食事をとり、衣服をととのえ、野良で働いて米なり野菜なりを作るならば、それであなた方は、この世でなすべきことのすべてをなしているのであり、無限はあなた方の中に実現しているのである。”(p.61)

さて、引用はキリがないのでこの辺にしておきましょう。

続く第四章の「禅と仏教一般との関係」の論考は圧巻です。仏教の発生と発展の歴史を例に、キリスト教も含む宗教一般の起こりと心理的背景について詳しく述べられています。これを読めば宗教というものの存在について、少しは理解できた気になるのではないでしょうか。少なくとも私はこれで、宗教一般というものについて納得がいきました。またインドに起こった仏教が、いかにして中国人の心に禅として根づくに至ったのか、という描写も非常に面白いです。

第六章の「実存主義・実用主義と禅」も素晴らしいですね。仏教で言われる「空」とは何なのか、わかったようなわからないような解説は数多くありますが、これはなかなか納得のいく解説です。色即是空、という有名な言葉にも少しはなじみが持てるのではないでしょうか。

長くなりましたが、引用の文章に少しでもピンと来るものがあれば一読をおすすめします。本当に歴史的な名著です。

【目次】

  • はしがき
  • 第一章 禅
  • 第二章 悟り
  • 第三章 禅の意味
  • 第四章 禅と仏教一般との関係
  • 第五章 禅指導の実際的方法
  • 第六章 実存主義・実用主義と禅
  • 第七章 愛と力

ある朝、突然会社に行けない状態になったら

この記事は、メンタル不調で「ある朝、突然会社に行けない状態になった」という方に向けて書かれています。筆者は専門の精神医療関係者ではなく、実際にそのような状況を経験した一当事者です。同じような境遇の方のお役に立てればと思い、この記事を書いています。

この記事を見つけられたということは、会社に行けなくなりましたか。ベッドから起きられなくなってしまったでしょうか。おそらくあなたがそのような状況なら、自分の状況をうまく説明できないほど参ってしまっている可能性が高いと思います。なんだかよくわからないけれど苦しくて死にそうだ、という状況になってしまっていないでしょうか。

まず、最初のステップとして会社に体調不良で休むことを連絡しましょう。電話一本かけることすら辛くて難しい、という場合もあるかもしれません。そのような場合はメールで連絡する、上司への連絡が難しければ同僚を通じて連絡する、家族を通じて連絡するなどの方法を取るとよいと思います。連絡なしに欠勤してしまうと、会社側はあなたに何か通勤中の事故があったのかと心配するかもしれません。辛くてもなんとか会社への連絡を済ませましょう。理由をうまく説明できなくても、とにかくお休みの連絡を入れることが大切です。

会社への連絡が済んだら、精神科または心療内科のクリニックを受診しましょう。お近くのクリニックや病院を検索してみてください。できれば予約不要ですぐに初診を受け付けてくれるクリニックが理想です。クリニックによっては、予約がないと来院しても当日受け付けてくれない場合もあります。またクリニック選びは先生との相性などもありますが、初診の時点では「時間的にも地理的にもすぐに受診できるクリニック」を優先したほうがよいでしょう。

メンタル不調は身体の病気と同じく、誰にでも起こりうる問題です。もしあなたが精神科や心療内科といった受診科に抵抗があったとしても、会社に行けないという事態は明らかに治療を要する状態だと思われます。あなたの身体は悲鳴を上げています。医師はあなたの状態を社会的に証明してくれる唯一の存在です。もう無理だ、と思ったら迷わず医師の診察を受けてください。

受診の目処は立ちましたか。診察が始まったら、会社に行けなくなったことを先生にお話しましょう。また最近ご自身が感じられている不調についてお話ししましょう。食欲がない、眠れずに夜中や早朝に起きてしまう、疲労感が取れない、といった症状がないでしょうか。特に、もう生きているのが辛い、死にたい、と思うことはありませんか。メンタル不調は客観的な判断力を失わせる傾向があり、「これくらいのストレスは誰でも耐え忍ぶべきだ」「耐えられないのは自分が弱いだけだ」といった考えを起こしてしまいがちです。しかし、会社に行けない、死にたいと思う、といった状況は明らかに緊急事態です。あなたが弱いせいではありません。感じていることを率直に先生に伝えてください。

先生に状況を話すことができたら、おそらく会社を休むための診断書を書いてもらえると思います。「うつ状態により○月○日まで休養を要する」といった書類です。会社は働く人々の健康に配慮する義務があり、この書類が会社に提出されたら、会社はその人を休ませる必要があります。先生は診断書にウソは書けません。この診断書が出たら、客観的に見てあなたは会社を休んで休養する必要があるということを、専門家の先生が判断したということになります。

会社を休むことに不安はありますか。周りの人に迷惑をかけてしまう、と思っていませんか。それは多少なりとも事実かもしれませんが、今のあなたが考えているほど重大なことではありません。急病人が出たときに、その穴をうまくカバーするのは会社の責任です。何よりあなたは医学的に見て治療を要する状態であり、身体的な急病人と何も変わりはありません。まずは休むことを最優先してください。会社に診断書が出た旨を伝えて、郵送などで会社に診断書を提出しましょう。

お薬が出たら、指示どおりに服用しましょう。ゆううつな気分を緩和する抗うつ薬、不安な気持ちを和らげる抗不安薬、よく眠れるようになる睡眠導入剤などが処方されると思います。薬が効いてくるまでには数週間かかる場合があり、また薬は個人との相性もあるので、よく効かない場合は薬の種類が変更になることもあります。少なくとも、「薬を飲んだらたちどころによくなる」という期待はしないほうが無難です。

いつまで休めばいいのか不安ですか。診断書に書かれた「○月○日まで」というのはその時点での先生の判断であり、通常はすぐに回復しなければ、再び期間を延長した診断書を書いてもらえることが一般的です。会社を休み始めた場合、それまで張りつめていた緊張の糸が一気に切れて、一時的にむしろ症状が悪化したように見えることもあるかもしれません。一般的なうつ病の場合、治療を開始してから症状が回復するまで3〜6ヶ月かかると言われることがあります。この治療期間も当然、個人差があります。メンタル不調の治療は長期戦です。焦らずじっくり治療を開始してください。

経済的な面が不安ですか。多くの会社では、会社を長期間休む場合には休職という制度があり、すぐに雇用が失われるというケースは少ないはずです。また、休職期間中は多くの場合お給料が出なくなる代わりに、会社の健康保険組合に傷病手当金という制度があります。支給開始から1年6ヶ月の間、給与の3分の2にあたる金額が保障されます。休職制度と傷病手当金制度については、会社の人事・総務の方がご存知だと思いますので、診断書提出のやりとりが済んだら、追ってお話していくといいでしょう。

長くなりましたが、メンタル不調で会社を休み始める場合の流れとしては以上のような感じになるでしょう。病気のことについては、今は書籍やネット上の情報などが充実していますので、追って勉強していけばいいと思います。

最後に、どれだけ辛くても自死だけは選ばないでください。メンタル不調は不治の病ではありません。きっといつかよくなります。この記事があなたの置かれた状況に対して、少しでも力となれることを希望します。

全世界株式と米国株式、どっちがいいの?

インデックス投資の考え方として、とにかく市場を幅広く分散させたほうがよいというものがあります。しかし、全世界株式よりも米国株式に集中させたほうがリターンはよいという考え方もあるようです。そこで、データを見てみました。

インデックスの情報を集めたサイト、myINDEX から「MSCI ワールド・インデックス (円)」と「MSCI 米国 (円)」の比較です。2021年1月29日時点での情報です。

期間ワールド
リターン
米国
リターン
ワールド
リスク
米国
リスク
5年+9.6%+12.5%17.9%18.6%
10年+13.3%+17.0%17.6%17.6%
15年+7.0%+9.2%19.6%19.3%
20年+6.1%+7.1%18.8%18.9%
30年+7.5%+9.9%17.6%18.4%

これを見る限り、全世界株式よりも米国株式のリターンの方が一貫して高くなっているようですね。30年の長期で2ポイント以上違うわけですから、複利効果を考えるとけっこうなリターンの差になりそうです。

リスクは1標準偏差の値のようですが、それほど大きな差があるようにも見受けられません。

米国経済が世界経済の中に占める割合は今後小さくなっていくと思われますので、一極集中はあまり好ましくないとは思いますが、インデックス投資のリターンを高めたい方には「全世界株式だけでなく米国株式の割合を増やしてみる」という戦略もありかもしれませんね。

アクティブ投資とパッシブ投資、どっちがいいの?

二項対立で語られるアクティブ投資とパッシブ投資ですが、結局どちらがいいんでしょうか。

まず用語の解説ですね。アクティブ投資とは、簡単に言えば自分で投資する銘柄を個別で選ぶことです。この会社の株価はきっと上がる! と思ってその株を買うなら、それはアクティブ投資です。ちなみにその銘柄選び自体をプロの人に任せてしまう「アクティブ運用ファンド」の話もあるのですが、それはいったん話の外に置いておきます(記事の末尾で補足します。)

それに対してパッシブ投資とは、自分で個別銘柄を選ばずに、市場のインデックスに追従する投資信託やETFを買うことです。インデックスというのは日本国内だと日経平均株価やTOPIX、米国だとダウやS&P500などですね。

私はいっときアクティブ投資を専業とする個人投資家として生活していたことがあり、これはもう自信を持って言えます。パッシブ投資のほうがいいに決まってるでしょう!!

あれ、意外ですか? そうです、アクティブ投資じゃないんです。はっきり言ってアクティブ投資は労力の割りに合いません。投資のプロに訊いてもそう言うと思います。その人が正直者ならね!

株式投資は短期的にはゼロサムゲーム、長期的にはプラスのゲームです。ゼロサムゲームと言うのは、誰かが得をしていれば誰かが同じ額だけ損をしているということですね。厳密な「適正な株価」というのは誰にもわかりません。株式の売買が行われているときは、たいてい適正価格より高くて買い手が損をしているか、適正価格より安くて売り手が損をしているかのどっちかです。

さて、あなたはご自身が常に「賢い側」にいる自信はありますか? 投資のプロがひしめくマーケットの中で、平均点以上を出せるという自信はありますか?

「ない」と答えた方は正直な方です。「ある」と答えた方については、ぜひ信じる道を突き進んでください。結果は知りませんけど。

これを読んでいる方の多くは、おそらく普通の会社勤めをしている人でしょう。週末などの限られた時間の中で、フルタイムの投資のプロに勝てるような財務分析などはできるはずがない、と思うのはごく自然なことです。

そこで出番なのがパッシブ投資です。パッシブ投資はゼロサムゲームを無視して、市場の平均点を買います。これって実はすごいことなんですよね。たとえばあなたが今、平均的なプロ野球選手の年俸がほしくて平均的なプロ野球選手の身体能力を身につけようといったって、それは無理な話です。ところが投資の世界では、健全な知識と精神があれば誰でもプロの平均点を叩き出すことができるというチートのような話が存在するんですね。それがパッシブ投資、いわゆるインデックス投資です。

残念ながら日本国内の株価は長期に渡って低迷してきた時期が多かったため、「でも日経平均ってそんなに上がってないんでしょ?」といった声が聞こえてきそうですね。しかし絶え間ない効率化と価値の創出が進むこの世の中では、世界的に見ると株価というのは基本的に「ギザギザを描きながら徐々に右肩上がりしていくもの」なんですね。MSCI World Index のリターンなどを見ていただくと、長期で見れば年利数%相当のリターンが続いていることがよくわかると思います。全世界に分散されたインデックスを買えばいいわけですね。

というわけで、投資はパッシブ一択です。「次に来る銘柄はコレだ!」みたいな記事があったらガン無視してください。パッシブ投資、インデックス投資の具体的な方法については、私の書いた記事で「簡単で確実な投資の方法とは」というのがありますので、そちらも参考にしてくださいね。

【補足】話の外に置いておいたアクティブ運用ファンドは?

先に触れたアクティブ運用ファンドもアクティブ投資ですが、プロの人(ファンドマネージャー)が銘柄選びをするなら大丈夫なのではないか、という人もいるかもしれません。でもね、そのファンドマネージャーが「勝っている側の人」だとどうやって判断するんでしょう? ゼロサムゲームの世界では、プロの人であろうと半分は負けています。不確実性の高い投資の世界では、仮に直近のほんの数年の成績がインデックスを上回っていたとしても、それが偶然なのかファンドマネージャーの実力なのかを識別することはほとんど不可能です。

パッシブ運用でそれなりのリターンが想定できる中で、わざわざ追加のコスト(ファンドマネージャーへの報酬)と追加のリスク(ファンド選びは果たして正解だったのか?)を払ってまで、アクティブ運用ファンドを選択する理由はそれほどないと思います。

株式投資入門: 簡単で確実な投資の方法とは

はい、いきなりタイトルで大きく出ましたね。簡単で確実な投資の方法についてです。

初めにお断りしておくと、「確実」というのはリスクがないという意味ではありません。必ず儲かるという意味でもありません。リスクはリターンの本質であって、リスクなしにリターンが欲しいというのは「空からお金が降ってこないかなあ」と思うのと同じです。

それを踏まえた上で、投資というものには王道というか一応の最適解というか、そういうものが定説として存在しています。地味だからあまり言われないんですけどね。やればおそらく儲かりますが、証券会社の営業マンが儲かるわけでもないので、「これ儲かりますよ」と誰かがあなたに勧めてくれることもありません。

ズバリ書きます。可能な限り非課税の口座で、コストの安い投資信託で「全世界株式のインデックスファンド」をドルコスト平均法で定期購入し続けて、可能な限り長期間保有すること。これが投資の王道です。

わからない言葉が出てきましたか? 調べましょう。はっきり言いますが、自分で調べようという気にならない人はあまり投資には向いていません。「おいおい、それを解説してくれる記事じゃないのかよ!」と思われた方はすみません。しかし「投資信託とは?」「インデックスファンドとは?」「そもそも証券口座ってどうやって開くの?」といった質問にひとつひとつ答えていたら、膨大な内容になってしまいます。幸いにも、用語を解説するだけの記事は世の中に溢れています。ここでは重要な指針を示すのみにとどめましょう。

繰り返しになりますが、自分で調べましょう。投資は心理のゲームです。ここで述べられる投資の王道は、証券会社の口座を開いて少し設定をしてしまえば、あとはほとんど手間などかかりません。物理的にやるだけなら誰でもできます。しかし、心理的にやれるかどうかは話が別です。何百万という自分のお金をリスクにさらせるか? わかりやすい失敗例として、市場の暴落時に長期保有という前提を守れずに投げ売りしてしまうという例があります。下落相場で何十万という含み損が出ているのに投資を続けられるか? すべてはあなたの知識と確信の強度にかかっています。調べましょう。本気でお金を儲けたいと思っているならできるはずです。

さて、先に述べた方法にはいくつかキーワードが出てきましたね。これがそのまま重要な点です。箇条書きにしてみます。

  • 可能な限り非課税の口座(NISAやiDeCo)を使用し、税金を安く抑えること。
  • 可能な限りコスト(手数料や信託報酬)の安い投資信託を利用すること。
  • 商品は(債券でも不動産でもゴールドでもその他諸々でもなく)株式を選択すること。
  • 可能な限り全世界に幅広く分散された株式インデックスを購入すること。(市場の分散とパッシブ投資)
  • 一定期間おきに一定額を定期購入すること。(ドルコスト平均法。時間の分散と自動化)
  • 可能な限り長期間、売却せずに保有し続けること。(リスク低減および複利効果)

これらのすべてが重要です。今はよくわからなくても、勉強するときにときどき見返すようにしてみてください。

ジェレミー・シーゲル教授が著書「株式投資」で明らかにしたところによると、過去200年間にわたる米国株の実質リターンは年利にして7%程度だったといいます。複利のマジックを知っている方は、年利7%と聞くと、株式投資には恐ろしいパワーが秘められていることに気がつくでしょう。電卓で「×1.07」を繰り返していただくとわかりますが、これはおよそ10年で2倍になる計算です。株式投資、「なんでやらないの?」といったレベルです。

さて、手っ取り早くこの投資方法を実現する手段ですが、これも簡単に述べることができます。三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・ カントリー)」を毎月定額で積み立てるようにし、あとは放っておく。もちろんあなたがこれを読んだ時点で、eMAXIS Slimよりコストの安いインデックスファンドが登場している可能性はあります。毎月いくら積み立てればいいの? という疑問もあるでしょう(ちなみにこれに対する私の回答は「収入が許す限界まで」です)。また、「全世界株式より米国株式のほうがリターンが良い傾向があるのでは?」といった議論もあります。このあたりの細かい点は、追い追い勉強ということでよいでしょう。

このページをご覧になった方が、どの程度投資の知識をお持ちなのかはわかりません。銀行預金ではスズメの涙ほどの利息しかつかないこのご時世、年利7%という数字に驚かれた方も多いのではないでしょうか。あなたが若い人で、100万円のまとまった貯金をようやく作ることができたとしたら? あなたが働き盛りの世代で、1000万円の預金を眠らせているとしたら? 株式投資はきっと有力な選択肢になるでしょう。

先にも書きましたが、投資は心理のゲームです。1000万円という数字に7%という数字を当てはめて、年間70万円の不労所得だ! 10年後には複利で2000万円だ! と考えることはできます。しかし、日によって数十万、運が悪ければ長期間にわたって数百万の含み損が発生するかもしれないという状況にあなたは耐えられるでしょうか? 繰り返します。すべてはあなたの知識と確信の強度にかかっています。勉強しましょう。本を読みましょう。すべてを疑って、納得のいくまで知識を確かにするのです。そうすればたぶん、あなたは新しい種類の自由を手にすることができるかもしれません。

株式投資の世界へようこそ!

Caitlín Nic Gabhann – Caitlín (2012)

カチュリーン先生こと Caitlín Nic Gabhann による2012年のソロアルバム。

ヤバいですね。普通にコンサーティーナ弾いてる人はこの人のテクニックを聴いたら軽く絶望するんじゃないでしょうか。ジャケットの写真を見る限り、アングロコンサーティーナの最高峰である Jeffries の楽器を使用しているんだと思いますが、それにしても演奏が美しすぎませんか。1曲目の Reel の装飾音から飛ばし過ぎです。

Tr.8の美しいワルツ、Sunday’s Well はカチュリーン自身の作曲によるものだそうです。これだけ弾けて作曲までできちゃうなんてずるくないですか?(ずるい?)

個人的なベストトラックはTr.10の O’Flaherty’s / The Wily Old Bachelor / The Japanese Hornpipe かな。コロコロ転調していて、ラストの The Japanese Hornpipe は楽譜に起こしてみたら♯が4つ付いてました。よく弾くなあ、という感じです。

華やかで聴きやすいアルバムなので、アイリッシュのコンサーティーナってどんな感じなの? という方におすすめしたいです。

【Track Listing】

  1. The Rookery / Joe Cooley’s Morning Dew / the Edenderry Reel
  2. Mrs. Galvin’s / Coleman’s Cross / Baitheadh Bhruclais
  3. Lucky in Love / The Little Bag of Spuds
  4. Heartstrings
  5. Bo Na Leath-Adhairce / The Morning Lark / The Bohola
  6. Master’s Return / The Mill House
  7. Up Leitrim / A Tune for Bernie
  8. Sunday’s Well
  9. Flying Column / The Eel in the Sink / The Shallow Reel
  10. O’Flaherty’s / The Wily Old Bachelor / The Japanese Hornpipe
  11. Elevated / The Shepard’s Daughter / The Strawberry Blossom / The Blackberry Blossom
  12. I Was Born for Sport / Anthony Frawley’s / Repeal of the Union
  13. The Leeside Sessions / The Reel With the Beryl / John Naughton’s Green Field’s of America
  14. Cill Dheagláin
  15. Jim Coleman’s / Jimmy McGettrick’s / John Dwyer’s

Angelina Carberry & Martin Quinn (2003)

バンジョー奏者の Angelina Carberry とアコーディオン/メロディオン奏者の Martin Quinn による2003年のアルバム。

名盤ですね。蛇腹楽器とバンジョーという組み合わせはそう多く聴いたことはないのですが、アルバム1枚の中でこんなにも多彩な音作りができるのかとびっくりしてしまいます。

Angelina Carberry はイングランドのマンチェスター出身。Martin Quinn は北アイルランドのアーマー出身で、Quinn ブランドでアコーディオンの販売をしていたり、リペアを行ったりしているようです。

Angelina Carberry のバンジョーはテクニカルで音にメリハリがあって、すごくいいですね。Martin Quinn のアコーディオンも流れるような演奏で素晴らしいです。全曲を2人で弾いているわけではなく、バンジョーのソロトラック(といいつつギター入りですが)、アコーディオンのソロトラックなども織り交ぜられており、聴き手を飽きさせません。

注意が必要な点として、Apple Music や Amazon 等のデジタル配信ではトラック7と8の曲名が誤って入れ替わっています。正しくはTr.7の Air が Aililiu na Gamhna、Tr.8の Reel がFinbar Dwyer’sです。

個人的なベストトラックはTr.8の Finbar Dwyer’s かな。勢いがあって聴かせる曲です。Tr.12の McNamara’s / The Carricknagavna Barndance もかわいらしくていいですね。

【Track Listing】

  1. McCarthy’s/ Andy McGann’s
  2. Murphy’s / The Fair Haired Girl
  3. The Tenpenny Piece / The Peeler and The Goat / Sean Bui
  4. The First Of May / The Blackbird
  5. The Green Groves Of Erin / Burne’s
  6. Connie the Soldier/ Maids Of Ballingary / Maloney’s Wife
  7. Aililiu na Gamhna
  8. Finbar Dwyer’s
  9. Col McBain / Roll Out The Barrel
  10. The Rooms of Dooagh / Con Curtin’s Big Balloon / Happy To Meet You Sorry To Part
  11. The Peacock’s Feather / Sporting Nellie / The Green Pigeon
  12. McNamara’s / The Carricknagavna Barndance
  13. Rooney’s Favourite / Paddy Fahey’s