Cormac Begley (2017)

アイルランドのケリー County Kerry 出身のコンサーティーナ奏者、コーマック・ベグリー Cormac Begley による2017年のソロアルバム。

コーマックはとにかく「めちゃくちゃたくさんのアングロコンサーティーナを使う人」です。公式サイトにも「Cormac Begley is a bass, baritone, treble and piccolo concertina player」なんて書いてありますし。このソロアルバムもバスコンサーティーナを使用したぶっ飛んだ Reel からスタートしています。

曲種はかなりバラエティに富んでいて、Reel と Jig 以外の曲がけっこうな割合を占めています。面白いのはジャケット裏面に書いてある使用コンサーティーナの付記で、これを引用してみるとこんなものが書かれています。

  • G/D Dipper Bass
  • C/G Suttner Treble
  • B♭/F Lachenal Baritone
  • A♭/E♭ Jeffries Treble
  • A♭/E♭ Dipper Bass
  • A♭/E♭ Jeffries (A=432Hz)
  • C♯/G♯ Jeffries Treble
  • B♭/F Suttner Treble
  • C/G Lachenal Piccolo

すごいですね。日本円で合わせて一体何百万かかってるんでしょうか。バスコンサーティーナ一台だけでも100万で作れるかどうか疑問なのですが…。まあ合計9台なので1000万にはギリ届いていないと思います。たぶん。

単純に楽器の種類が多彩なだけではもちろんなく、奏法も曲によってはドローン(一定の音を旋律と並行して出し続けること)を効果的に使用していたり、演奏と並行してエアボタンをわざとオープンにして空気の通る音でパーカッシブな効果を狙うなど、トリッキーな演奏も見せてくれます。

個別の曲を見ると、やはり冒頭とラストに入っている Reel がいいですね。音域がバスで始まりピッコロで終わっているという構成は意図的なものでしょうか。重音とドローンの効果の美しいTr.6の Reel、またTr.9の Polka などもかわいらしくていいです。

ちなみにこのアルバムには、六角形のコンサーティーナ型のデザインをした特殊紙ジャケット盤が存在します。収録曲は同じですが曲順が異なります。マニアな方はそちらもチェックしてみるとよいでしょう。