レールから外れるほうが普通なんだってば

みんな普通になりたがってる

みなさんは10代の頃、自分はこれからどんな人生を送ると思っていましたか? 明確な目標や予測じゃなくても、なんとなくそうなるのかなって漠然と思っていた将来像ってありますよね。

たとえばこのような人生があります。高校と大学をストレートで通過して、新卒で正社員で就職して、いくつかの恋愛を経験して、ほどほどの年齢で結婚して、子どもを育てる。何も変わったことのない、それでいて理想的なコースです。

このような流れから逸脱したとき、人は何か「レールから外れた」ように感じます。自分は普通になりたかった、普通の幸せが欲しいだけなんだ、と考えます。

「普通」って理想のことだ

しかし、そのようにすべてがうまくいっている人が、いったいこの世にどれだけいるでしょうか? それは「普通」というより、むしろ例外的な状態なのではないでしょうか?

客観的に理解できるように、あえて数字で考えてみます。「8割の人は成功するよね」というハードルが5回続いたとき、これがすべて成功するのは0.8の5乗で、計算すると3割ちょっとの人しかうまくいきません。

そして普通の人の人生を考えるとき、学業、仕事、健康、人間関係など、取り組むべきことは多様です。ここで人間関係だけを考えてみても、そこには毎日接するものとして学校や職場、家庭での人間関係があって、さらにそれ以外の場所での友人関係や異性関係も加わります。

つまり、ハードルは5つどころではないわけです。さらに、8割が成功するなんて簡単なことは、現実世界にはそんなにありません。ここで仮に、5割の人が成功するハードルが10個続いたとして計算すると、すべてクリアする確率はだいたい0.1%くらいになります。これを当たり前に得られると思う人はまずいないでしょう。

人は「自分は大富豪に生まれなかった」ということを真剣に嘆き悲しんだりはしません。それは普通のことではないとわかっているからです。では、「普通の幸せ」はどうでしょうか? これも実は、同じような種類のものだとは言えないでしょうか?

何かうまくいってないほうが普通

「うまくいかないときだってあるんだから、あまり落ち込まないようにしよう」というのは、人の気持ちの持ち方について言及していますよね。落ち込まないようにしようというのは確かにそうなんですが、もっと大切なことがあって、それは「何かうまくいってないほうが普通なんだ」という認識を持つことです。

実生活でいろいろうまくいっていないことを嘆く人はいても、大富豪に生まれなかったことを嘆く人はいないというのは、その人の期待がどこに設定されているのかということが関係しています。「大富豪に生まれるべきだ」というのは、普通はその人の期待として設定されていないので、それが得られなかったといって「裏切られた」と感じることはないわけです。

しかし、「普通の幸せが得られるべきだ」というのは、その人の期待として既に設定されています。さきほどの確率の計算で見たように、実はそれが非現実的な期待であるとしてもです。本人はそれが、すごく高いレベルに設定された期待だということを認識していません。期待して得られないなら、そこには「裏切られた」という感覚が出てきます。

大富豪に生まれなかったというときに「裏切られた」という感覚が出てこないのは、そういう気持ちを意識して抑えようとしているのではなくて、最初から期待を持っていないから、そもそもそういう感覚が出てこないわけです。

理解と工夫で対処する

「無理にそうしようとするのではなく、心の仕組みを理解することで自然とできるようになる」ということはけっこうあります。私がこのブログでよりよく生きるためのヒントについて書いているときにも、そのような視点を意識していることが多いです。

うまくいかないことが普通なのだという認識を持てれば、落ち込んだ気持ちを無理に奮い立たせるということをしなくても、そもそも「そういうもんだな」と思うだけなので、あまり落ち込むことがなくなります。これは気合いではなく、理解と工夫で現実に対処するということです。

やる気がなくても何曜日の夜には必ずジムに行こうとか、間食をしてしまうからそもそも家にお菓子を置かないようにしようといった工夫がありますね。これは「意思の力なんて弱いものだ」ということを理解して、生活習慣や環境を整えるという工夫で対処している例だと言えます。

「レールから外れる」というのは、現実と現実認識の間によくあるズレの一例です。現実に対する認識がずれていると、何もうまくいかないし、うまくいっていないという自覚があるのでストレスが溜まります。いつでも現実をきちんと認識して、それを理解して、それに対処するような工夫を心の中に作っていくということが大切だと思います。

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