アイルランドのクレア、タラ Tulla, County Clare にルーツを持つタラ・ケーリー・バンド Tulla Céilí Band による1996年のアルバム。タイトルのとおり、グループの結成50周年記念盤です。グループは10年おきに同様のレコーディングを行っており、2021年現在では40周年から70周年まで4枚のレコーディングが存在しています。（ちなみに10年周期以外のその他のレコーディングも、少数ながら存在しています）
Tulla Céilí Band は1946年に Paddy Canny (フィドル)を中心に、P.J. Hayes (フィドル)、Joe Cooley (アコーディオン)といったメンバーとともに結成されました。Wikipedia に記載のあるメンバー一覧を見ると、Bobby Casey (フィドル)、Willie Clancy (イーリアンパイプス)をはじめ、アイリッシュをやっていたらどこかで名前を目にしたであろう面々がずらりと並んでいます。
本作の「A Celebration of 50 Years」ですが、録音には少しクセがあると感じられるかもしれません。アイルランドの伝統音楽によく触れられている方なら違和感なく聴ける作品ですが、普通のロックやクラシックをよく聴いている方は、ほぼ全ての楽器がまとめてユニゾン（同じ旋律）で迫ってくる感じにちょっとびっくりされるかもしれません。私が初めて聴いたときには、フルートの特徴的な倍音がひらひらと響いていることに「こりゃ何の音だ？」と不思議に思ったものでした。
このグループの作品としては、2016年にリリースされた「70th Anniversary Celebration」のほうが音が素直で聴きやすく、一枚目にはそちらのほうがおすすめかもしれません。本作の50thも名盤ですが、本作がやや暗いトーンであるのに対して、70thの方は雰囲気も明るく録音もクリアなので、入門盤としてはとっつきやすい気がします。
とはいえ、本作の50thも名盤には違いないので、アイリッシュに興味のある方にはぜひ一聴をおすすめします。