コンサーティーナを修理するには

コンサーティーナたち(左:1932年頃製造のLachenal Edeophone、右:1923年製造のWheatstone Model 22)

コンサーティーナを演奏していると、さまざまなトラブルが発生することがあります。

  • 「リー」という金属的な異音がするようになる
  • ボタンを押しても音が出なくなる
  • ボタンを押していないのに音が出っ放しになる

こういったケースの場合、何らかの方法で修理を行うことが必要になってきます。何らかの方法とは、

  1. 専門家に修理をお願いする
  2. 自分で修理する

の2つです。

専門家に修理をお願いする

コンサーティーナというのはご存知のとおり、マイナーな楽器です。日本国内で専門に修理を行なっている工房というものの存在を私は知りません。

幸いにも、国内のアコーディオン店で修理を受け付けてくれるお店が存在しています。愛知県の名古屋市内に店舗を構える モンテ・アコーディオン monte accordion さんです。

モンテ・アコーディオンさんでは県外からの修理の依頼も受け付けてくれるようです。自分で修理を行うのが難しい場合、まずはこちらのお店への修理の依頼を検討してみるとよいでしょう。

自分で修理する

コンサーティーナは自分で修理を行うこともできます。手先の器用な人、メカに強い人などであればそれほど難しくは感じられないかもしれませんが、完全に自己責任の世界ではあるので、おすすめしてよいかは難しいところです。

人にもよると思いますが、コンサーティーナの修理は実際のところかなり楽しいです。演奏と並んで、楽器のメンテナンス自体がひとつの趣味になるレベルです。もしあなたがコンサーティーナという楽器と長く付き合っていくつもりならば、修理の方法を覚えるということはよい選択肢であるかもしれません。

コンサーティーナの修理に関しては、David D. Elliott氏による「The Concertina Maintenance Manual」という書籍が存在しています。英文の書籍ではありますが、コンサーティーナの修理を学ぶにはまずこの書籍を入手するのがよいでしょう。

よくあるトラブル

コンサーティーナのトラブルで最もよくあるのが、内部のリードにホコリが噛んでしまうというものです。結果としては「リー」という金属的な異音や、特定の音が出なくなるといった現象になります。

コンサーティーナ内部のリードを取り外した状態

このとき修理に必要になってくる道具は以下のものです。

  • ドライバーのセット
  • ブロワー(後述)
  • シックネスゲージ(後述、なくてもよい場合もある)

先述の書籍でコンサーティーナの内部構造を理解したら、分解を行なってみましょう。ほとんどのコンサーティーナでは、六角形の形をしたエンドに6点のネジが存在しています。マイナスドライバーで6点のネジを外すと、エンドのアクションボックスを取り外すことができます。

アクションボックスを取り外した状態

アクションボックスを取り外すと、リードのたくさん取り付けられたリードパンが見えるようになります。リードパンの真ん中の穴に親指を入れて、リードパンを取り外します。

リードパンを取り外した状態

リードは放射状に配置されており、外側に向かって引き抜くことができます。とはいえ大抵の場合、個別のリードを引き抜く必要はありません。上記の写真の状態で、ブロワーでホコリを飛ばす作業をすればいいのです。

ブロワー(ブロアー)とは風を起こしてホコリ等を飛ばす道具で、カメラ用品などを販売している店舗で購入することができます。

ブロワーだけでホコリが取れない場合、シックネスゲージを使用します。シックネスゲージとは、元々は隙間の厚みを測定するための道具ですが、ここでは単に「非常に薄い金属板」として使用します。

ホコリが噛んでいると思われるリードをリードパンから取り外し、最も薄いシックネスゲージをリードの隙間に挿入し、ホコリを取ります。

リードをシックネスゲージで掃除する様子

掃除が済んだら、分解した手順と逆の手順で組み立てを行いましょう。組み立てが済んだら、問題の発生していた音を鳴らしてみて、問題が解決していることを確認します。

その他のトラブル

その他のトラブルも存在します。私が経験したものだと、空気の通り道をふさぐ役割を果たしているパッドの接着剤が剥がれて脱落してしまったケースなどがありました。

アクションボックスを分解した状態(白く丸いものがパッド)

このようなケースでは、上記の写真のようにアクションボックスの分解が必要となってきます。

おわりに

以上、コンサーティーナの修理について大まかに触れてみました。楽器を使用していく上で、メンテナンスの問題は避けて通れないトピックです。この記事で触れた内容とは異なるトラブルに遭遇することもあるかもしれません。

可能ならば、普段からコンサーティーナに詳しい人との人的ネットワークを築いておくことをおすすめします。楽器に何か問題が発生したとき、修理方法に関するよいアドバイスをもらえる可能性があります。

では、今回の記事はこの辺で。みなさま楽しいコンサーティーナライフを。