Mantronix: The Album (1985)

説明不要の名盤…と言われるわりに日本語の情報は少ないですね。マントロニクス Mantronix による1985年のファーストアルバムです。ヒップホップ・クラシックとも呼ばれる一枚です。ユニット名は「マントロニク」とも表記されるようです。

Mantronix はDJ/プロデューサーのカーティス・マントロニクス Kurtis Mantronix とラッパーのMC ティー MC Tee の二人からなるユニットです。サウンド的にはエレクトロ、エレクトロ・ファンクと呼ばれるジャンルで、いわゆる打ち込み(シーケンサー)を使用したヒップホップの草分けとして知られています。ニューヨークで活動していたようです。

時代的にはクラフトワーク Kraftwerk の「コンピューター・ワールド Computer World」が1981年、「エレクトリック・カフェ Electric Cafe」が1986年。アート・オブ・ノイズ The Art Of Noise の1stアルバム「Who’s Afraid Of The Art Of Noise」が1984年ですから、1985年というと本当に打ち込みというものの初期の時代を築いた作品ですね。

そしてサウンドのもうひとつの核となるのは MC Tee によるラップで、これは心地よいです。歌詞をあまりちゃんと読んでいないのですが、あまり攻撃的な感じではないですね。

グループは2ndアルバムの「Music Madness」(1986)、3rdアルバムの「In Full Effect」(1988)をリリースしたのち、MC Tee がアメリカ空軍に入隊するためグループを離れます。その後はメンバー変更を経て、1991年頃まで活動したそうです。

有名どころだと革新的なエレクトロニック・デュオ、オウテカ Autechre が彼らの影響を受けていたことでも知られています。無機質な彼らのビートの底に、こうした肉体的なグルーヴがあるというのはちょっと面白いですね。