MOL53 x Ogre Wave – City of West (2018)

現在はRAWAXXXのMCネームで知られるラッパーのMOL53と、トラックメイカーのOgre Waveによる2018年のアルバム。MOL53名義では最後の作品になるそうです。

MOL53のフルアルバムには、バラエティに富んだ楽曲が印象的だった2015年の「REVIVAL」、高いラップスキルと呼煙魔によるトラックによりさらに一段上のレベルへと引き上げられた2016年の「ANTITHESIS」がありました。ともに名盤だったと思います。

前2作と比較して、まず目についたのは32分という収録時間ですね。前2作はともに1時間前後ありましたから、今回はギュッとまとめてきた感じです。意外にもこの収録時間がこのアルバムの質感を引き締めている気がしますね。もっと聴きたい! とは思うんですけど。

Ogre Waveによるトラックの質感はなんというか、非常にドライでタイトな感じですね。MOL53によるリリックも、今作ではメッセージ性よりも純粋な音の並びとしての気持ちの良さが引き立っている気がします。「ANTITHESIS」には和洋の「和」の要素を感じさせるものがありましたが、今作もまたダークな中にどこか和を感じさせる部分があります。

個人的なベストトラックはTr.13のタイトルトラック「City of West」かな。Tr.12の「2 Trandition」もいいです。まあでも、全曲いいですね。

今も第一線で活躍するラッパーによる、ジャパニーズ・ヒップホップの名盤と言えると思います。