入門編: Steve Vai の名盤を探る

フランク・ザッパ Frank Zappa の門下生で、その天才的な表現力とテクニックで知られるギタリスト、スティーヴ・ヴァイ Steve Vai。

そんな彼のアルバムですが、一体どこから聴いたらいいのでしょうか。というわけで、おすすめの3枚をセレクトしてみました。

Passion and Warfare (1990)

スティーヴ・ヴァイの名前を一躍知らしめた1990年の作品。ギターインストの作品としては例外的に相当売れたそうです。

「Answers」はシンセとの絡みが美しいアップテンポなギターインスト。そしてアップテンポなナンバーもいいですが、「The Animal」のようにミドルテンポでもしっかり聴かせるのがヴァイのギターのすごいところです。「I Would Love to」あたりもメロディアスでとてもいいですね。

ヴァイは「アルバムの7曲目に必ずバラードを入れる」というスタンスを長年貫いていて、本作では「For The Love of God」がそれに当たります。凄まじい速弾きも含む、非常に美しいバラードです。

Real Illusions: Reflections (2005)

ビリー・シーン Billy Sheehan (Ba)、トニー・マカパイン Tony MacAlpine (Key, Gt)といった超豪華ゲストとのバンド編成で録音された作品。私は今のところ、本作がヴァイのいちばんの名盤なんじゃないかと思っています。

目もくらむような高速タッピングで幕を開ける「Building The Church」、シンセの不思議な音色と疾走感のあるバンドサウンドが一体となった「Glorious」。

そして5曲目から7曲目の展開は圧巻です。ホーンセクションがフィーチャーされたヴァイ自身によるヴォーカル曲「Firewall」、まさに怪物たちの演奏としか思えない「Freak Show Excess」、おなじみ7曲目に配置された更なる高みを見せてくれる美しいバラード「Lotus Feet」。

特に「Freak Show Excess」でのテクニックの応酬は異常という他なく、これを聴くためだけにアルバムを買っても損はしないんじゃないでしょうか。アルバムのラストは物静かな「I’m Your Secrets」、感動的な「Under It All」で幕を閉じます。

The Story of Light (2012)

Real Illusionsシリーズの続編です。このシリーズは3部作になる予定だそうです。

1曲目の「The Story of Light」はシンセの音色とハイハットの響きが美しい、壮大なオープニング曲。「John The Revelator」「Book Of The Seven Seals」は2曲続けて力強い女性ヴォーカルとコーラス隊をフィーチャーしたヴォーカル曲です。

「Gravity Storm」は重力の嵐というタイトル通り、「落ちていく」かのようにピッチの下がるギターのフレーズが印象的。ヴァイの真骨頂ですね。

他にもドラマチックなヴァイのヴォーカル曲「The Moon and I」、王道のギターインスト「Racing The World」など名曲が数多く収められています。