投資にFXをおすすめしない3つの理由

近年では一般の人にも投資の手段として浸透してきたFX(外国為替証拠金取引)。正確には、私はFXのことを投資ではなく投機だと捉えています。もう少しはっきり言えば、ギャンブルに近いものだと捉えています。簡単に言えば、やめとけということです。

私は投資の初心者にはFXをおすすめしませんし、投資の経験者にもFXはおすすめしません。今回はそんな私がFXをおすすめしない3つの理由について書いてみたいと思います。

1. 市場が「効率的」すぎる

投資について勉強したことがある方ならば「効率的市場仮説」という言葉を目にしたことがあるでしょう。市場が効率的であるというのは、現時点で考えうるすべての情報は既に価格に織り込まれているという考え方です。

考えてみてください。ある商品が今後品薄になると予想されるとします。品薄になれば、当然その商品の価格は上がると予想されます。商品の価格が上がるとしたら、多くの人は価格が低い今のうちに商品を買っておけばよいと思うでしょう。つまり、買いが入るのはです。ということは、価格の上昇は起こるのです。予想が正しければ正しいほど、価格の変化はもう既に起こっているのです。これから先に起こるのではありません。

これがあまりにもマイナーなキャラクターグッズ等の販売であれば、誰も価格の上昇に目をつけていないということも考えられるかと思います。しかし、あなたがFXで手をつけようとしているのは国際通貨市場です。世界経済全体を相手にするということです。

あなたは世界経済全体を相手に、高度なコンピュータシステムで武装した機関投資家等も含めて、相手を出し抜けると思いますか?

為替に関するあなたの予想が正確であればあるほど、その予想の結果は既に起こっています。あなたの予想が不正確であれば、その結果はまだ起こっていないかもしれませんね。それはつまりこれから損をするということです。

2. 偶然儲かった話で溢れている

ここで仮に、コイントス大会というものを考えてみましょう。コインを投げて、表が出るか裏が出るかを当てるのです。コイントス大会に必勝法はあるでしょうか? ありません。コインの結果は偶然に左右されるからです。言うまでもないことです。

では、コイントス大会に優勝者や成績優秀者は存在するでしょうか? 存在します。存在するのです。完全に偶然に左右されるゲームでも、成績優秀者は必ず存在します。これは重要なポイントです。

1000人でコイントス大会を行ったとしましょう。10回コインを投げて、その結果をすべて予想するものとします。確率的には、1人の人が10回連続で予想をすべて的中させることがあっても珍しくはありません。2分の1の偶然を10回連続で的中させる確率がちょうど1024分の1だからです。

1000人による10回のコイントス大会では、おそらく数百人もの人が「6回以上、つまり偶然を上回る確率で予想を的中させた」勝者になるでしょう。7回、8回という高勝率をマークした人も少なくないはずです。

世の中には、FXをやっている人は1000人どころではありません。もっと膨大です。つまり、FXの世界には膨大の数の「コイントスの成績優秀者」が存在するはずなのです。

儲かったという話に乗らないでください。事実として儲けている人は存在します。しかし、その儲けには予想としての根拠が何もないのかもしれないのです。

3. 他に真っ当な投資方法が存在する

FXを危険なゲームとして楽しみたいのなら、それはそれで個人の自由です。しかし、あなたが投資ということを真面目に考えているのなら、他にもっと真っ当な投資方法が存在しています。

それは全世界に広く分散した株式市場全体に長期投資し、資本主義社会の経済成長の恩恵を受け取るという方法です。これは一般的にインデックス投資と呼ばれています。

インデックス投資の利回りについては、過去200年間に渡る米国株式市場の分析として、平均年利にして7%程度という研究結果が出ています。

これは一攫千金という言葉からすると程遠いものでしょう。しかし、複利のマジックというものを考えると、7%という数字は単純計算でおよそ10年で2倍になる計算です。これは十分刺激的と言える数字なのではないでしょうか。

人生で一発逆転を狙うのはやめましょう。ここで挙げたインデックス投資という手段は、忍耐の末に手に入る果実です。投資とはそういうものです。

インデックス投資に関しては、私が過去に書いた以下の記事などを参照するとよいと思います。

おわりに

FXの実態とともに、最後には株式のインデックス投資にも触れてみました。この記事でFXの危うさが感じ取れたでしょうか。

投資の大原則は、自分のよくわからないものには手を出さないということです。あなたがこの記事を読んで、どうか合理的な投資の勉強をする道へと歩んでくださることを期待します。