眠るのが下手すぎる

眠るのが絶望的に下手です。眠ることに上手いも下手もあるんか? と思われるかもしれませんが、確実にあります。以前、泊まりで遊びに行ったとき、隣にいた友人の姿に大変驚かされたことを覚えています。「少し静かになったな」と思った途端に、スカー……スカー……という寝息が聞こえてきたのです。まるで7桁の数字を見たあとに「ああ、それは素数だね」とこともなげに言われたような気持ちでした。そんなことってある?

私がなぜ眠れないのかというと、それはうまく説明できないのですが、「神経が鎮まらないから」と言うしかありません。何か頭を使えば、私の頭は活動モードになります。外に出て人と会えば、私の頭は社交モードになります。そして一度そのようなモードになったとき、私はそのスイッチを切るのにすごく苦労するのです。

毎朝、日の出とともに6時頃に起きるとしましょう。たぶん世間一般の大人からすると信じられない話だと思いますが、私は日が落ちてしばらく経った19時か20時くらいには、身の回りのことをすべて済ませて消灯して横になりたいと思います。たとえ実際に眠りに落ちるのが23時であったとしてもそうです。神経を鎮めて眠りに落ちるために、少なくとも数時間は、暗闇の中で横になってじっとしている必要があるのです。

眠りに落ちにくいからといって、私がいわゆるショートスリーパーだというわけではありません。むしろどちらかというとロングスリーパーに近いほうで、私の日中のパフォーマンスを考えたとき、ベストな睡眠時間はだいたい8時間〜9時間、プラス昼寝が30分です。何かの間違いで5時間くらいしか眠れなかった日などは本当にひどいもので、ろくに物事を考えることもできず、ゾンビに噛まれて自我を失う直前はこんな感じなのかなという気持ちになります。

「すぐに眠れる」というのは、明らかに生活の質を高める上でひとつの恵まれた才能だと思います。仕事をする上での突出した能力のように、目立ちはしないかもしれません。本人はそのギフトの存在を自覚すらしていないかもしれません。

たとえば、次のような人がいます。大抵のものはおいしいと思う。くよくよ悩むことがない。おしゃべりが好き。詩を読んで泣くことがある。嫌いな人があんまりいない。これらのことは、みなギフトです。私もたぶん、生まれたときにいくつかのギフトを受け取ったのでしょう。しかし逆に、私たちはハズレを受け取ることもあります。今日もまた全然眠れないなあ、と暗闇の中で思うたびに、私は自分の受け取ったハズレについて意識させられるのです。

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