書くというジャズみたいな行為について

興味を持ってくれる人は少ないかもしれませんが、私がこのブログを書くときの流れの話をします。面白いのは「書き始めた時点では、自分が何を書き上げるのかはまったく知らない」という点です。

ちゃんとしたテーマを持った書籍を書くのであれば、「これを伝えたい」というポイントを箇条書きなどで挙げた上で、しっかりと構成を練っていくのでしょう。しかしこのブログの記事は、何かワンポイントで面白いことやためになることがあれば、それでいいと思っています。なので、自然とそれに応じた書き方になりました。

私が書くときの流れは、こんな感じです。

  • ほんのワンフレーズの着想を持って、それで書き始めると決める。(この記事なら「あれ? 書き始めた時点だと、何をどう書くのかって実は全然決めてないよね?」というのが着想)
  • 実際に書き始める。あんまり頭では考えてない。ひとつのセンテンスが書けると、次のセンテンスは自然と決まることが多い。つまり、話が勝手に流れ始める。(これは体調と気分に左右されるので、書けないときは何も書けない)
  • 着想から枝が伸び始める。書くという行為そのものによって、自分では気づいていなかった考え方や視点、例え話、表現方法が出てくる。記事が徐々に形になっていき、中心とすべき表現が明確になり始める。(うまくいけば、私がヒップホップに倣って勝手に「パンチライン」と呼んでいる、印象的な言い回しが出てくる)
  • 話の脱線が発生する。つまり、予想していなかった方向に枝が伸びることがある。少しの脱線にとどまれば、そのような表現として残すが、場合によっては、独立した別の記事にすべきと判断してこれを切り出すことや、脱線で出てきた着想のほうを本題として全体を書き直すこともある。
  • 一応最後まで書き上がる。
  • 枝を整える。枝が伸びる過程で、本筋に対してあまり関係がなく、重要でないセンテンスが存在してしまう場合があるので、これを削る。(せっかく書いたのにもったいないと思っても、ちゃんと削る)

というわけで、記事を書く上で最終的に何が出てくるのか、どうまとめるのかというのは私も知らないのです。

書くというのは、ちょっとした即興演奏にも似ています。音楽の即興演奏と違うのは、うまくいかないなと思ったらすぐにやり直せることです。失敗した演奏はお客さんに見せないでいいということなので、これは人前で楽器を演奏するよりもずっと気が楽です。その上で、即興の面白さだけはちゃんと残すことができます。

ちなみに、今書いた即興演奏という例えも、今この場で勝手に出てきたものです。この記事は当初は「書くプロセス」という仮のタイトルだったのですが、「なるほど、書くってジャズじゃん」と思ったので、タイトルも付け直しました。話のオチも考えていないのですが、いや〜勝手に言葉が出てきて主題もオチも勝手に出てくるなんて本当に面白いね〜、というのがオチになりました。

書くって本当に面白いです。わざわざブログを開設しなくても、今はnoteみたいに気軽に文章を書いて発表できるメディアもあるので、みなさんも何か新しいことを始めたいと思ったらやってみてくださいね。

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