個人的にちょっと不思議に思っていることがあって、それは、どうしてみんな毎日ニュースを見たり聞いたりするんでしょうね? という疑問です。何かがニュースになるというのは、基本的には悪いことが起きたときです。どこかで事故が起こったり、誰かが捕まったり、あるいは亡くなったりした場合ですね。
テレビのニュースとは別に、ネット上には特定の分野に特化した情報を配信しているサイトが数多くあります。最新のガジェットをいち早くレビューしているサイトとか、アイドルやバンドについての新譜情報やインタビュー記事を掲載しているサイトとかですね。自分の興味のある分野について、そういうものをチェックするのは楽しいし、すごく便利です。本当にありがとうございますという感じです。しかし、テレビのニュースといったものはそのような性質ではなくて、決まった周期で決まった時間だけ、うっすらとネガティブな情報を与え続けるという存在ですよね。
私は社会福祉を勉強していた時期もある人間なので、社会を構成する人間はその社会の問題についてある程度関心を持っておくべきだ、とは思っています。でも、毎朝目覚めるたびに真っ先にこういう情報を摂取するのは、ちょっと耐えられないなと感じます。ニュースから絶え間なく送られてくる情報というのは、意識できないレベルで微弱なストレスとなっているような気がするんです。
気分というのは、社会の中で伝染します。周りのみんなが朝からなんとなくうんざりしている、といった社会で暮らしたい人はいないでしょう。しかしメディアには、社会にそういう空気感を作る力があります。デジタルデトックスという言葉がそれなりに知られているように、こうしたメディアの影響力に対しては、何らかの自衛が必要になってきます。
最近ではテレビを持っておらず、新聞も取っていないという人が増えていると思うので(私も両方そうです)、毎日のニュースの摂取という習慣は過去のものになっていくのかもしれません。みんなが知ってる話題というのがだんだん消えていき、今度は人々が「自分の目に入れたい情報しか目に入れない」という状況が出現し、社会の中で偏見や対立が助長されるのではないかといった指摘もあるようです。
社会とうまく付き合いつつ、社会から上手に距離を取る。そういった暮らし方が必要なのではないかという気がします。
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