心の中のガソリンの話

「頑張れば何でもできるはずだ」というのは、明らかに誤った考え方です。人のやることは何でも周りの環境とか偶然とかにかなり左右されるものだ、という外的な要因もありますが、そもそも人の持っているエネルギーは有限であるという事実があります。自動車にガソリンを入れるなら、タンクの容量と燃費というものがあり、それ以上は何をどうやっても走れません。人間の場合だけ、それが「精神力」で何とかなると言うのはおかしいですよね。

人間にとってのエネルギーの補給は、まず第一に睡眠や食事といった身体的な行為で、そこに好きなことをするだとか好きな人たちと過ごすといったことが加わります。自分が気持ちよく生活するための方法を知る、というのは大切なことです。それは自分のエネルギーの上限と残量を意識して、エネルギーが尽きてしまうような生活をしないということです。

何かが有限であるということを知るのはすごく大切です。私たちはなんとなく自分が平均寿命くらいまでは生きるのかなと思っていますが、もし病気で余命が半年であるとわかったら、残りの人生で何を行うかについて、きっとものすごく真剣に考えるはずです。お金にルーズだったりするのも、この「限りがある」という事実を実感していないことから生まれます。それは単純に財布の中身や預金残高に限りがあるという意味でなくて、普通はお金というのは自分の時間とエネルギーを費やして得るものであり、これはつまり命を削って得たものなのだということです。

あなたが付き合っている人、やっている仕事、あなたを囲む娯楽と暇つぶし、これらは本当に重要ですか? 限りがあるということを理解したなら、取捨選択や優先順位といった概念が出てくるはずです。あなたはすべてのことをすることはできないし、すべてのものを得ることはできません。腕いっぱいに何かを抱えているなら、別の何かを取りこぼします。

あなたが何かを得るときには、必ずあなたはあなた自身の時間とエネルギーを消費しています。もし、そうして得られたものがガッカリするようなものでしかないとしたら、あなたはそうすることをやめるべきではないでしょうか?

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