継続は力なり(やり方が正しい場合に限る)

会社組織でときどき起こることとして、営業畑と技術畑の分断というのがあります。技術の人は「品質を上げて、いいものを作れば売れるはずだ」と考えますが、営業の人は「俺たちが苦労して売り込んでるからこそ売れるんじゃないか」と考えるんですね。

私も技術畑の人間なのでよくわかるのですが、技術の人は物事をむやみに飾り立てるのを嫌う傾向があって、売り込みというのもそうした「本質的でないこと」と理解されがちです。ただ、これはちょっとビジネスという視点からはよろしくないです。どんなにいいプロダクトでも、人に知ってもらわないことには使ってもらうことはできません。空っぽな中身でバズ狙いを繰り返すインフルエンサーみたいなのも考えものなので、実態が伴っているというのは確かに大切なんですけど、泥くさい営業を軽く見てしまうというのはよくない判断です。

音楽の世界でも、小説や映画の世界でも、「商業的だ」というのは褒め言葉ではないですよね。売れるだとかウケるだとかいうことを狙うのはアーティストらしからぬ姿勢で、もっと真摯に自分の表現と向き合え、というわけです。しかしこの考え方は、独りよがりであるということと紙一重です。成功しているアーティストは、いつでも自分自身の持つ個性や強みと、お客さんが求めているものを冷静に理解していて、両者の接点を探してすり合わせるという努力を行なっているはずです。譲れない部分は譲らないかもしれませんが、広く受け入れてもらえるように自分の姿を調整するということは常に行なっているはずです。

方向性を間違えた努力というのはもったいないものです。自分らしさを磨くことは大切ですが、人に理解してもらえるように努力し続けるということも同じように大切です。極端な立場に陥ることなく、この両方の追求を行なっていくことが、結果を出すためには必要なのではないかと思います。

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