投資初心者におすすめのインデックスファンド

インデックスファンドの選択でお悩みでしょうか? 世の中には本当にたくさんのファンドがありますからね。迷ってしまうのも無理もないと思います。

あなたがこの記事にたどり着いたということは、おそらくあなたは既にインデックス投資に興味がおありでしょう。おめでとうございます。欲望の渦巻く混沌とした投資の世界で、インデックス投資という合理的な道にたどり着いたからには、もう半分勝ったようなものです。

私は以前、「株式投資入門: 簡単で確実な投資の方法とは」という記事で、インデックス投資の有用性と要点のまとめについて書いたことがあります。インデックスファンドの選択については、過去の記事でも触れるところがありましたが、今回改めて書いてみたいと思います。

要点のおさらい その1

さて、インデックスファンドを買うにあたっては、ファンド自体の選択とそれ以外に選択すべきことがあって、案外「それ以外」のことが重要だったりします。最初に「それ以外」のことからおさらいしていきましょう。

まず、税金を安く抑えること。NISA等の税制優遇の受けられる口座は開きましたか? 面倒でも早めに行なっておきましょう。2021年現在で、株式の売却益にかかる税金は約20%です。この税金の効果はあとになって何十万円、もしくは何百万円のリターンの差となって出てくるかもしれません。

次に、ファンド自体の選択について考えることです。ここで考えるべきなのは、全世界に幅広く分散された株式インデックスを選択することと、手数料や信託報酬を低く抑えることの2点です。

では、この2点を満たすインデックスファンドには何があるのでしょうか。

おすすめは eMAXIS Slim 全世界株式

この記事は詳細なデータ分析の記事ではないので、答えをズバリ書いてしまいます。三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・ カントリー)」がおすすめです。全世界の先進国と新興国に幅広く分散された株式インデックスで、ノーロード(販売手数料が無料)で、信託報酬もトップクラスの低さを誇っています。

信託報酬等の詳細なデータが気になる方は、「インデックスファンド 比較 全世界」などでGoogle検索を行ってみるといいでしょう。eMAXIS Slimは知名度もあるファンドなので、より詳細なデータの比較記事が出てくると思います。

さて、先ほどファンド選択には「それ以外」に考えることがあると述べました。ここから先はその続きです。どれもインデックス投資においては重要なことですので、ここでおさらいしておきましょう。

要点のおさらい その2

インデックスファンドの買付においては、毎月定額を積み立てるようにしましょう。ドルコスト平均法と呼ばれる方法です。おそらくあなたのお使いの証券会社で、インデックスファンドの買付を行う際に「積立」という方法が選択できると思います。「積立」を選択して、放っておいても毎月の投資が行われるよう自動化しましょう。

そしてインデックス投資を最大限有効化するには長期保有が必要です。購入したインデックスファンドは可能な限り売却せずに、長期間保有し続けましょう。これにより複利の効果が働いていきます。複利については私の過去に書いた記事で「インデックス投資と複利効果のシミュレーション」という記事があるので、そちらも参照してみてください。

ここまででインデックスファンドの購入手続きが済んだら、ときどき評価額をチェックしてみましょう。評価額には一喜一憂しないことです。上がっていく評価額を見ながらニヤニヤするのもよいですが、ときにはパフォーマンスが悪く評価損が発生しているかもしれません。過去のデータを見れば、世界市場は数年間に渡ってパフォーマンスが悪くなることも普通に起こり得ます。しかし長期で見れば、低迷していた株価もいつかは回復していきます。だからあまり気にしないことです。

おわりに

インデックスファンドを買う決心ができましたか? 積立購入の設定を終えることができたでしょうか。

本文中で触れた複利の効果の記事のように、インデックス投資を長期間に渡って行うことにより得られるリターンには恐るべきものがあります。慣れない方は少額からでもいいので、とにかく始めてみましょう。最初のうちは怖いかもしれませんが、インデックス投資は私たちの資産形成の味方です。

この記事を通じてあなたが経済的な豊かさ、ひいては人生の豊かさを手にしていただけることを願っています。

投資初心者におすすめの勉強法とポートフォリオ

投資の世界に限らずですが、世の中は「あれをしなさい」「これをしなさい」という言説で溢れています。ある人はあっちに行けと言い、ある人はこっちに行けといいます。それぞれの言うことが矛盾しているなんてことはザラです。

特に投資という行為には、人間の欲がからんでくるため余計に難しいのです。より多く儲けられるという話があったら、そちらに目が向いてしまうのは人間の悲しい習性です。

あなたはどうやって投資の「正しいゴール」にたどり着くことができるのでしょうか。ここでは投資の初心者に向けて、いくつかの指針となる考え方を示したいと思います。その上で、おすすめのポートフォリオについても最後に触れたいと思います。

投資の世界は勉強の世界

まず、あなたがこれから踏み出す投資の世界というのは勉強の世界だということをよく覚えておきましょう。あなたはおそらく少額の投資から始めるでしょうが、もし本格的に投資を行うのでしたら、あなたは数百万円、ひょっとしたら数千万円というお金をリスクにさらすことになります。

そしてその場合、ときには数十万円、数百万円といった額の評価損、いわゆる元本割れというものも経験するかもしれません。そのときあなたを不必要な動揺から守り、安心させてくれるのは、自分の血肉になるまで勉強した、確固たる根拠のある知識だけです。ニュースはあなたの不安を煽るかもしれません。より確実に儲かるといった、特に根拠のない儲け話があなたを誘惑するかもしれません。

投資の世界は心理の世界

これは同時に、投資の世界が勉強の世界であると同時に心理の世界であることを示しています。「1,000万円を投資したら、評価額が800万円になった」と想像してみてください。この想像上の「200万円の評価損」は、本当に現実に「200万円の評価損」を経験した際の痛み、動揺、混乱とはまったく異なります。

現実にリスクというものの痛みに対処するには、あなたは現実に痛みを経験する必要があります。言葉の上で言えることと、実際にできることは異なります。投資を少額から徐々に行なっていくことが推奨されるのはこのためです。少額で少しずつ成功しながら、また少しずつ失敗しながら、徐々に慣らしていくのです。

確固たる根拠に基づいた知識を習得することと、それを実践できる安定した心理を身につけること。知識とメンタルは投資を行なっていく上で両輪です。

勉強すべきは株式のインデックス投資

さて、世の中には「この株を買いなさい」「不動産投資を行いなさい」「ゴールドを買いなさい」といったさまざまな言説があふれています。特定の何かをする方法を学ぶ前に、そもそも何をするべきかという点で意見がまったくバラバラなのです。投資の初心者は、勉強するといっても一体何を勉強すればいいのでしょうか。

投資の世界には、特殊な才能と運を必要とせず、特別大きなリスクや労力も必要としない、王道とも言える方法が存在します。それは株式のインデックス投資です。

まずは株式のインデックス投資について勉強してみてください。それ以外の「○○を買いなさい」といった言説はいったん無視して、インデックス投資の有効性についてとことん調べてみてください。その他の言説については、インデックス投資について一通り勉強したあとで調べてみればよいでしょう。

「インデックス投資について勉強してください」というのは、私から贈れる最大のギフトです。念のために言いますが、投資の世界では騙されることもあります。この記事は一個人が趣味で書いているもので、なるべく客観的な記述を心がけていますが、それでもこれを読んでいる人にとっては見ず知らずの人の書いた文章です。疑ってください。投資の世界ではそれも不可欠です。

その上で、インデックス投資の根拠についても疑ってみてください。しかし、私はお約束してもいいのですが、おそらくインデックス投資は混沌とした投資の世界の中で、あなたが最も納得できる方法である可能性が高いです。

おすすめの本は

株式のインデックス投資について勉強するとき、まずはどういった本から手に取ればいいのでしょうか。

私がおすすめしたいのは橘玲の「臆病者のための株入門」です。投資について面白おかしい話も交えながら、しかし投資の本質を押さえたすぐれた解説書で、最終的には「経済学的にもっとも正しい投資法」について解説しています。ここで言う「経済学的にもっとも正しい投資法」とは、全世界市場に分散した株式のインデックス投資のことを指しています。

もう一冊外せないのが、ジェレミー・シーゲルによる名著「株式投資」です。先に挙げた本が新書だったのに対して、こちらは少しアカデミックな本と言えます。シーゲルは株式や債券、ゴールド、現金といった各資産への投資が実際にどのようなリターンをもたらしてきたかについて、米国の過去200年以上に渡るデータをもとに分析するという恐るべき仕事をしています。この本でも、株式インデックスへの投資の有用性が非常に説得力を持って展開されています。

また私が過去に書いた記事では「株式投資入門: 簡単で確実な投資の方法とは」にインデックス投資のエッセンスをまとめています。また「インデックス投資の平均利回りはどれくらい?」の記事や「インデックス投資と複利効果のシミュレーション」の記事も参考になるでしょう。

おすすめのポートフォリオは

ここまでに述べた勉強法を実践してみると、あなたは「株式へのインデックス投資の有用性」と「可能な限り市場を分散させることの重要性」を理解しているはずです。そこからの帰結として、おすすめするポートフォリオは一つです。

全世界株式のインデックスファンドを一本だけ買っておけば大丈夫です。複雑怪奇に見える投資の世界で、この結論はあまりに簡単なものに見えるかもしれません。繰り返しになりますが、この結論もご自身の勉強によって確かめてください。

具体的なインデックスファンドの名前については、私が過去に書いた記事「投資初心者におすすめのインデックスファンド」に詳しいので、そちらをご参照ください。

おわりに

少しはご参考になったでしょうか。投資の世界には、あなたを惑わす情報が山のように存在しています。ここで紹介した情報をもとに、あなたがなるべく道に迷わずに投資の知識を習得していけることを望んでいます。

入門編: The Replacements の名盤を探る

アメリカのロックバンド、ザ・リプレイスメンツ The Replacements。

フロントマンはリードヴォーカルでソングライティングも行うポール・ウェスターバーグ Paul Westerberg です。初期は荒々しいパンクサウンドを聴かせていましたが、アルバムが枚数を重ねるにつれて落ち着いた大人のロックへと進化しています。

そんな彼らの名盤を3枚、セレクトしてみました。

Let It Be (1984)

1984年の3rdで、彼らを代表する名盤です。1stで見せたような激しいパンクサウンドはやや変化を見せ、激しさと落ち着きが同居しているようなアルバムとなっています。

1曲目「I Will Dare」はバスドラムの音色が曲を引っ張るという少し珍しいノリの軽快なロックナンバー。マンドリンの音色も聴こえてきます。2曲目「Favorite Thing」は勢いのあるギターとベースのフレーズから、パンク調のヴォーカルが続きます。

曲は激しい曲もあり静かな曲もありますが、全体的に不思議と詩的な印象を受けます。パンクの影響下にあるのに、どこか落ち着いた印象も受けるのはウェスターバーグのセンスによるものでしょう。

7曲目「Unsatisfied」はこのアルバムを代表する名曲で、ウェスターバーグが存在感のあるかすれ声で「I’m so, I’m so unsatisfied」と歌います。8曲目「Seen Your Video」は3分少々あるのに冒頭2分半近くがインストという面白いナンバー。12曲目「Sixteen Blue」も彼らの詩的な面がよく現れた名曲です。

Tim (1985)

1985年の4thで、サウンドの面でさらに円熟味を見せるようになった作品です。

1曲目は明るめのロックナンバー「Hold My Life」で幕を開けます。3曲目「Kiss Me On The Bus」も明るい印象。明確にというわけではないですが、どこか楽しげな曲が多いような気がしますね。

7曲目「Bastard of Young」はこのアルバムの中心に位置する名曲。9曲目「Left of the Dial」はカレッジ・ラジオについて歌った曲で、どこかノスタルジーを感じさせる曲。アコースティックナンバーの11曲目「Here Comes a Regular」でアルバムを幕を閉じます。

All Shook Down (1990)

1990年の7thで、彼らのラストアルバムでもあります。サウンドは落ち着きを見せ、完全に大人のロックになっています。

1曲目「Merry Go Round」から優しいヴォーカルで始まります。3曲目「Nobody」はアコースティックとエレキのギターの音色がうまく組み合わさったナンバー。

4曲目「Bent Out of Shape」はヴォーカルとギターが奏でるメロディの美しい曲。のちのウェスターバーグのソロ作にも通じる感触の作品です。5曲目「Sadly Beautiful」はアコギによる弾き語りにも近い雰囲気の曲で、彼らの初期の作品からは考えられない作風です。

アルバム後半にもアコースティック中心の曲が並びます。10曲目「Happy Town」はオルガンによるソロも面白い曲。アルバムのラストは「The Last」というピアノとヴォーカルによる曲で締められています。

インデックス投資の平均利回りはどれくらい?

一般的に、我々のようなふつうの人間がある程度の確実性を持ってリターンを得られる投資の方法は、株式へのインデックス投資だと言われています。市場全体に分散された株式のインデックスファンドを購入して、長期保有するという考え方ですね。

さて、株式投資の研究の名著として、ジェレミー・シーゲル教授の「株式投資」という本があります。この本は、米国において株式や債券、ゴールド、現金預金といった各資産への投資が実際にどのようなリターンをもたらしてきたかについて、過去200年以上に渡るデータをもとに分析したというものすごい本です。

この本で著者は、株式投資が長期にわたって最も安定して高いリターンを叩き出していたことを明らかにしています。

さて、端的に株式へのインデックス投資の平均利回りというのはどの程度になるのでしょうか? 本書から、米国株式の過去の利回りの記述を引用してみましょう。数字はインフレ調整後の実質利回りです。

期間実質利回り [%]
1802-18707.0
1871-19256.6
1926-20066.8
ジェレミー・シーゲル「株式投資 第4版」、2009年、日経BP社、p.11より引用

この数字を見る限りでは、過去200年間にわたる米国株式の平均利回りは6.8%程度だったと言えるようです。

年利にして数%という数字ですが、実際には長期投資を行うことで複利効果を活かすと、そのリターンは驚くべきものになります。このあたりは過去の記事「インデックス投資と複利効果のシミュレーション」にて触れました。

また、このデータはあくまで米国株式のものですが、より分散投資を徹底して全世界株式にした場合はどうなるのでしょうか。その点については過去の記事「全世界株式と米国株式、どっちがいいの?」で検証してみましたので、そちらをご参照ください。

また、この記事を読んでおられる方は既にインデックス投資への興味を持っている方だと思いますが、インデックス投資へのすすめについては過去の記事「簡単で確実な投資の方法とは」に簡単なまとめを書いています。そちらもぜひお読みいただければと思います。

インデックス投資と複利効果のシミュレーション

投資の中でも、長期に渡って株式市場のほぼ全体を保有し、複利効果で安定的に大きなリターンを狙うインデックス投資。かのアインシュタインは「複利は人類による最大の発明だ」と述べたそうです。

私は以前、インデックス投資の有用性を「簡単で確実な投資の方法とは」という記事で書いたことがあります。また、個別株等で大穴を狙うべきではないということも「アクティブ投資とパッシブ投資、どっちがいいの?」という記事にて触れました。

インデックス投資における現実的なリターンは年利にして数%(10%に届かない程度)ですが、それでも長期間保有することによって発生する複利効果の大きさには恐るべきものがあります。

では、データを見てみましょう。これから見るデータは現実の株式インデックスが過去に残したデータで、該当するインデックスファンドが存在していれば実際に実現し得るデータです。

データは全世界株式のものにしましょう。「MSCI World Index」という全世界株式のインデックスを使用するものとします。

この記事を書いている2021年2月18日時点での実際の成績を元に、「100万円を投資していたらいくらになっていたか」を期間別に見ていってみましょう。

期間 [年]平均年利 [%]リターン [万円]
111.4111
37.6125
510.9168
1012.9337
156.8268
205.9315
307.5876

30年間運用した場合は100万円が876万円になっていた計算になります。これはインデックス投資が比較的容易な投資手段であることを考えると、驚くべきリターンであると言わざるを得ません。

表の数字をよく見ると、年次のリターンのばらつきによって、必ずしも年数に対してリターンがまっすぐ伸びていくわけではありません。たとえばこの表では、10年運用していたケースより15年運用していたケースのほうがリターンが少なくなっています。これはリターンの悪かった年が追加の5年分の運用期間に含まれていたということを示しています。(2008年のリーマンショックの影響でしょう。)

リターンのばらつき、つまりスクについてはゼロにすることはできませんが、あまり心配することはありません。ジェレミー・シーゲル教授の著書「株式投資」によると、株式のリターンは運用期間が長くなればなるほどリスク(標準偏差)の値が小さくなるという特徴を持つことが明らかにされています。

それにしても30年という期間はなかなかの期間ですね。投資を始めるのは、基本的には若ければ若いほどいいです。あなたがこの記事を読んでいるということは、投資全般や株式投資について何らかの興味があるということでしょう。できればなるべく早めに、株式のインデックス投資について勉強を始めることをおすすめします。